No.9 食品値上げによる米粉の可能性 ~個票分析がおもしろい!~

【図表1】2022年の主な値上げ食品
※ニュース等を基に㈱ライフスケープマーケティング 海谷が作成

 今年に入ってから、世界的な原材料高騰、急速な円安などによる食品値上げが相次いでいます。食品に限らず、ガソリン、ティッシュやトイレットペーパーなどの日用品から、電気代まで、ありとあらゆる物の値上げが消費者の暮らしを直撃しています。コロナ禍で人々の食卓は大きく変化しましたが、コロナ禍に続いて起こった「値上げラッシュ」の中で、消費者の食生活は変化しているのでしょうか。また、このような状況の中で、どのような食材が伸びているのでしょうか。  今回は、価格の上昇が続く食品の代表とも言える小麦粉の代替品として注目されている「米粉」に焦点を当てて分析していきたいと思います。




1. 値上げラッシュ時の消費者の購買行動

【図表2】小麦粉の家庭内在庫推移
データ期間:2018/10/1~2019/5/31・2021/10/1~2022/5/31
計数:1000世帯1日当たりの在庫数

 まずは、食品値上げ前後での家庭内在庫の推移を見てみましょう。

 【図表 2】は、大手メーカーで 6 月~7 月に更なる値上げが予定されている小麦粉の家庭内在庫数の推移を表しています。値上げが発表された4 月あたりから家庭内在庫が急増しています。コロナ前の同時期と比較すると、コロナ前では特に大きな変化が見られないため、季節性の要因はなく、値上げによる生活防衛のための買いだめ行動である可能性が高いと考えられます。
 そんな中で、今小麦粉の代替品として米粉の需要が高まっていると、メディアなどで話題になっています。米粉の特徴は、
 1. アレルギーの原因となることもあるグルテンが含まれていない
 2. 油の吸収率が低いため、揚げても低カロリーで、サクサク感が続く
という特徴があり、ヘルシーな食材として徐々に認知されるようになってきました。もちもちした食感になるも特徴で、その食感が引き立つ麺類やケーキ類などにもよく使われるようになってきています。また、米の消費量が減少している日本においては、米粉を家庭に浸透させることは、日本の農家を守る、食料自給率アップにも貢献できると言えます。この「米粉」について、次の章でデータを見てきましょう。

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