目からウロコが落ちる話

目からウロコが落ちる話

弊社前会長、齋藤隆による食に纏わることを綴ったコラムです。

第40回 食卓視点がないCVSの行方

このブログでは「シングルス食MAP」についてたびたび取り上げています。今回、本を出版しました。タイトルは「新しい市場を発見する必読本~見間違っていたシングルス市場」です。出版を記念して(宣伝して?)、その一つをご紹介します。なお本は弊社のホームページで販売いたします。

<略>
CVSが日本に誕生して35年以上の歳月が流れました。CVSは生活便利店として、様々なサービスを提供してきました。しかしその多くは外部経済効果で支えられてきました。24時間営業、雑誌販売、公共料金取り扱い、タスポ効果、薬事法改正などです。その外部経済効果はもはや期待できません。自前型の生活便利店のあり方が問われています。特にシングルスをターゲットとした生活便利店政策は重要です。ところが「6 小売のプロもビックリ!シングルスの食品スーパー利用率」で述べましたように、シングルス食卓とCVSの接点は予想外に弱いのです。
シングルスとの顧客接点が弱い原因は、CVSが食卓の法則を破っているためです。

図表1はシングルスが購買した食品を食卓にどれほど登場させているか(TI値)と、CVS購買割合の関係を表しています。食卓登場頻度とCVS購買率は全く逆相関関係になっています。シングルスがよく使う食品ほどCVS利用率が低いのです。図を4つの領域に分けています。

A 飲料、パン・シリアル、菓子類、主食惣菜

→TI値が高く、CVS購買割合が高い

B アルコール類、レトルト食品、パンスプレッド、レンジ食品、カップ食品、珍味

→TI値はあまり高くないがCVS購買割合が高い

C 野菜・山菜・豆類、基礎調味料、穀類

→TI値は高いがCVS購買割合が低い

D 果物、野菜加工品、乳製品、油脂類、麺・パスタ、インスタント食品、肉類

→TI値は比較的高いがCVS購買割合が低い

A領域はCVSの星です。B領域はCVSの重点カテゴリーです。

C領域はCVSが35年間の無策の結果、大きなマーケットチャンスを失っているカテゴリーです。D領域も大きなマーケットチャンスを失っています。C、D領域は、CVSがサービス強化しなければならないカテゴリーです。

図2は食品スーパー購買割合と食卓登場回数の関係を示しています。食品スーパーは購買率60%辺りを中心に正規分布の形をしています。購買率と食卓登場回数が無相関であることを示しています。結論がでました。

「CVSのマーチャンダイジングは、シングルス食卓を無視している」

CVSはシングルスの食卓を無視したマーチャンダイジングを行っています。例えばCVSのレジ横にあるファストフードのコロッケは、買ってその場で食べるコロッケとして開発されています。自宅に持ち帰り、夕食のおかずとして食べるコロッケではありません。同じコロッケでも価値は全く異なります。CVS は、食卓という視点を持ってマーチャンダイジングを行わなければ、シングルス市場から見放されるでしょう。

<図1>シングルスの材料食卓出現頻度とCVS購買率の関係

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<図2>シングルスの材料食卓出現頻度と食品スーパー購買率の関係

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