目からウロコが落ちる話

目からウロコが落ちる話

弊社前会長、齋藤隆による食に纏わることを綴ったコラムです。

第27回 シングルス市場の真実 ~パート2~

食品業界の方々はシングルス市場と言えば、すぐにコンビニ店や惣菜を思いうかべるでしょう。しかし、本当にそうでしょうか? そこで今回はシングルスの購買行動に迫ります。
さっそく質問です。シングルスが自宅で飲食をするためにコンビニ店を週に何回利用しているでしょうか?

答え 男性 1.6回  女性 1.4回   (2006年の夏の食生活日記調査)

嘘のような数字です。因みに上の数字には自宅以外の飲食の買い物は勘定に入っていません。「シングルス=コンビニ店」は、学校やオフィスなどの外での飲食には当てはまっても、自宅での飲食には当てはまりません。
前回ではシングルスの自宅での飲食比率が高まっているお話しました。シングルスに内食回帰が起きています。ということは、もともと薄いシングルス内食とコンビニ店の接点が、ますます薄くなっていることになります。比較のために、自宅で飲食するために食品スーパーを利用する回数(週当り)を見ると男性 1.8回、女性2.0回です。コンビニ店より食品ス−パーの買い物回数のほうが多いのです。この事実を食品ス−パーや食品メーカーの方々は十分に認識していないのが現状です。
図表はシングルス食MAPから11月にシングルスが自宅に持ちかえった購買食品(商品ベース)のお店の比率です。

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男女ともに食品スーパーが65%を占めています。コンビニ店は10%に達しません。
「惣菜や飲料はコンビニ店が中心のはず」と思われる方が多いでしょう。そこで質問です。主食類の惣菜、おかず類の惣菜、菓子類、飲料が、自宅に持ちかえるためのコンビニ店で買われる割合は何割でしょう?

答え 主食類の惣菜 25.5%、おかず類の惣菜 7.0%、菓子類 17.7%、飲料 10.6%
注)11月調査

想像以上に少ない結果です。しかしこれが実態です。まさに「事実は小説より奇なり」です。では食品スーパーの割合は何割でしょう?

答え 主食類の惣菜 36.2%、おかず類の惣菜 66.6%、菓子類 52.8%、飲料 58.1%

主食類の惣菜を除いて、圧倒的に食品スーパーの利用が多くなっています。しかし食品ス−パーでは、シングルスをどれだけ意識して仕入れや販売を行っているのでしょうか? ほとんどが無策の状態なのではないでしょうか。話はそれますが、シングルスが食品スーパーをよく利用する日があります。どんな時だと思われますか?

答え 「料理したい気分だった」「家族や友人などのお客を夕食に招いた」

こうした機会はシングルスにそう多くはありません。しかし、そうした際に、頼りになるお店とそうでないお店ではシングルスのお店のロイヤリティは大きく変わります。
話は変わりますが、シングルス食MAPでは、購入した食品を使い切った際に1つの質問をしています。使い切った食品に対して「また買いたい」「もう買いたくない」「なんとも言えない(無回答)」という質問です。全食品の「また買いたい」率はほぼ20%(11月、12月)ということは、前回、既にお話しました。そこで質問です。食品スーパーとコンビニ店で買った食品の「また買いたい」率は何割でしょう?

答え 食品スーパー 19.4%、コンビニ店 21.4%

若干ですが食品スーパーの結果が悪くなっています。ということは「良く利用している店=満足している店」とは限らないということです。
下の表は主な食品の「また買いたい」率を整理しています。

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シングルス11,12月調査結果
生鮮食品3品の「また買いたい」率が2割を大幅に下回っています。因みに食品ス−パに限って生鮮野菜の「また買いたい」率を見ると11.7%とさらに下がります。一方、青果店は19.8%、生協は41.1%です。ほとんどの食品スーパーは、シングルスを意識した生鮮食品の販売はしていません。その結果が 10%そこそこのリピート意向率に止まっています。

レトルト食品の「また買いたい」率が25.2%という高い結果は、食品メーカーにとって大きな意味があります。洋風ソースの25.3%にも大きな意味があります。この点についてはパート4で詳しくお話します。
上の表にイトーヨーカ堂とセブンイレブンで買った食品の「また買いたい率」を乗せています。イトーヨーカ堂39.7%とセブンイレブン24.4%は、それぞれ同じ業態の他の店に比べて高いことが分かります。因みにイトーヨーカ堂の生鮮3食品の「また買いたい率」は32.6%とかなり高くなっています。セブンイレブンの主食類惣菜の「また買いたい率」も35.4%とかなり高いです。
シングルス食MAPでは具体的な購入店舗名を調査しているので、店別の「また買いたい」率が分かります。
ジャスコや西友の「また買いたい」率はどうなっているでしょうか?
ローソンやファミリーマートはどうでしょうか?
どのお店のどんな食品の「また買いたい」率が高い(低い)のでしょうか?
これらが食品のブランド・レベルで分かります。「また買いたい」率は、店の言わばロイヤリティ指標です。そんなことが分かるのがシングルス食MAPです。ちょっと凄いでしょう!

シングルス市場はこれまで誰も立ち入らなかった未知の新大陸です。そこには私達がこれまで気づかなかった新しい市場が隠れています。その新市場を発見し、開拓することが市場の創造に繋がります。
現在の未曾有の経済不況は市場の消滅です。消滅する市場を予測しても仕方がありません。経済不況時の市場は予測するものではありません。市場は創造するものです。そこにシングルス市場の大きな価値があります。

追伸
1月28日(水)と2月24日(火)にシングルス食MAPに関するセミナーを開催します。豊富なデータをもとに、これまで全くの未知だったシングルス市場の全貌が明らかになります。詳細は こちら をご覧下さい。

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