目からウロコが落ちる話

目からウロコが落ちる話

弊社前会長、齋藤隆による食に纏わることを綴ったコラムです。

第13回 お寿司に関わるクイズ7問

今回は食MAPデータからの話題です。
今回と次回は「健康と食」(社団法人 日本衛生協会)に私が連載している「クイズ日本の食卓の新常識」2008年の1月号と2月号から拝借しました。因みにこのコーナーは私が毎年テーマを変えて、9年間休まず毎月続けている人気コーナーです。

(1月号より)
私達の毎日の食卓は案外に謎だらけです。食MAPのデータ収集は既に10年目に入っています。昨年6月時点で食卓数250万、メニュー数1200万、食材数2800万です。この膨大なデータベースから、今回は食卓の謎解きをクイズ形式でお伝えします。
最初は寿司の話(クイズ)です。関東上空から2006年の1年間の夕食卓を覗きました。さまざまな寿司メニューが食卓に登場しています。ここで問題です。

問 にぎり寿司、のり巻寿司、ちらし寿司、手巻寿司が登場する確率はどれくらい?

答 にぎり寿司1.3%、のり巻寿司0.9%、ちらし寿司0.9%、手巻寿司0.6%

この数字、結構大きいと思いませんか。全部合わせると4%近くになります。他の寿司メニュー(押し寿司、いなり寿司など)をいれると5%程度になります。関東上空の夕食卓を1年間通じて観察すると、平均して100世帯に5世帯は何らかの寿司メニューを食卓に登場させている勘定です。ある著名な栄養士の話によると、末期の高齢者に「今一番食べたいものは何?」と聞くと、ほとんどの高齢者が答える料理は3つだそうです。寿司、鰻、天ぷらです。次ぎの問題です。

問 上記の4つの寿司に使われる魚介類のベスト3を当ててください。

答 にぎり寿司 まぐろ赤身、まぐろのとろ、ホタテ・ひらめ(同順位)
のり巻寿司 まぐろ(ネギトロ)、まぐろ赤身、まぐろのとろ
ちらし寿司 いくら、サーモン・鮭、まぐろ赤身
手巻寿司 まぐろ赤身、イカ、サーモン・鮭

如何にまぐろがよく食べられているか判ります。ここで夕食卓に一番よく登場している鮮魚ベスト5を教えましょう。
1位まぐろの赤身、2位イカ、3位エビ、4位サーモン・鮭、5位あじ
これ!ほとんどが寿司ネタです。特にトップがまぐろになっている事実に、改めて驚かされます。日本人の魚嗜好は、まぐろを中心にした刺身や寿司ネタに偏りすぎています。今問題になっている地球次元での漁獲資源問題を考えると忌々しき事態です。庶民の食卓の代表であると言われていた鰯が夕食に登場する割合は悲しいくらい少ないのです。もっとも...、最近では鰯は高級魚になっていますが。もっとバランスのとれた魚メニューを食卓に出す工夫が必要です。

問 4つの寿司がピークになる時期(日)を当ててください

答 のり巻寿司(2月2日恵方巻き)、ちらし寿司(3月3日お雛様)、にぎり寿司(正月)、手巻き寿司(?)

最初の3つの寿司の回答は簡単でしょう。4番目の手巻き寿司が難しい。このことに関連して、最近1つの事件が起きました。ある鮮魚のプロが全国のイカの水揚げ量データと食卓の生鮮イカの登場頻度データを比較していたときのことです。プロは「おかしい?」と思わず叫びました。全国のイカ(大半はするめイカ)の水揚げ量の波形と食卓の生鮮イカ登場のデータの波形は大方であっていました。ところが1時期だけ全く食い違うのです。正月の3が日です。

top_column_13_1.jpg

この時期は全国の魚場は休みでイカの水揚げは1年間で一番の底が常識でした。ところが食卓ではイカの登場回数が山を作っているのです。「正月の食卓に登場したのは冷凍イカではないか?」と魚のプロは言いました。ただ消費者にしてみれば、売場で生鮮として売られていれば鮮魚のイカと認識します。ここら当たり流通関係者は消費者にちゃんと伝えて欲しいものです。最近の食品の安全性問題は目を被わんばかりの悲惨な状態です。
魚のプロは「正月にイカが山を作る理由がさっぱり判らない」とギブアップしました。この謎はイカが使われたメニューから簡単に解けました。イカが手巻き寿司に使われていたのです。さきほどの手巻き寿司のベスト2位はイカでした。手巻き寿司が正月に1年間で最大の山をつくり、そこにイカが利用されていたのです。因みに手巻き寿司は1年間でもう1つ大きな山を作ります。ここで問題です。

問 手巻き寿司にはもう1つの大きな山があります。いつでしょうか?

答 ゴールデンウイーク

top_column_13_2.jpg

さらに質問です。手巻き寿司と同様に正月とゴールデンウイークに山を作り、イカがよく使われるメニューがもう1つあります。

問 何でしょう?

答 お好み焼き

top_column_13_3.jpg

さらに質問です。

問 手巻き寿司とお好み焼きに共通な事柄は何でしょう?

答 家族一緒に楽しむテーブルクッキング

納得いただけましたか?
ところでのり巻寿司が2月2日の恵方巻きとしてブレイクします。ちらし寿司は3月3日お雛様にブレイクします。ならば正月とゴールデンウイークをお好み焼きと手巻き寿司の日にしてはいかがでしょうか。イカが喜び、家族が喜びます。ついでに魚業界も喜びます。

最後の質問です。

問 4つの寿司が夕食卓に登る際、市販もち帰り寿司(夕食用)の割合は何割でしょう?

答 にぎり寿司71%、のり巻寿司76%、ちらし寿司21%、手巻寿司20%

にぎり寿司とのり巻寿司は圧倒的にもち帰りです。ちらし寿司と手巻き寿司は案外に手作りが多いようです。家人の手作り心をくすぐる新しい手巻き寿司キットの開発は面白いでしょう。パリパリ海苔と新鮮魚介、そしてこだわり酢飯の「選り取り手巻き寿司キット」です。因みに店屋物の寿司を利用する割合は次ぎのとおりです。
にぎり寿司25%、のり巻寿司10%、ちらし寿司17%、手巻寿司6%
少しはためになりましたか?

食に関するコラム 目からウロコが落ちる話の一覧に戻る

ページトップへ戻る