目からウロコが落ちる話

目からウロコが落ちる話

弊社前会長、齋藤隆による食に纏わることを綴ったコラムです。

第11回 少子高齢社会の本当の意味は何?

少子高齢社会の本質は一体何でしょう?
自称、マーケティング界の名探偵は答えます。
「わが国有史以来の前人未到の社会が訪れることである」
マーケティング界の名探偵は、一見して当たり前な事柄を疑ってかかることを常としています。一般に少子高齢社会は次ぎの様に考えられています。
「老人が増え、子供が少なくなる活力のない社会」
名探偵の解釈は世間の常識と全く違います。名探偵は2つの意味で、前人未到の社会が到来すると考えています。

1.社会の価値基準が変わる

少子高齢社会は子供が減少する社会と云われています。本当でしょうか?
「子供ってどう定義するのでしょうか?」
子供の定義の一つに15歳があります。かつて武士社会の男子は15歳で元服式をとりおこない、大人社会の仲間入りをしました。今では15歳以上を生産年齢人口と定義しています。こうした定義に従うと14歳以下が子供です。名探偵はこの定義に、常々、疑問を感じています。
いまどき15歳で就職する人などほとんどいません。それどころか成人しても仕事につかないニート族や決まった職を持たないフリーター族がうようよいます。秋葉原はコスプレ遊びに熱をあげる大人とも子供ともつかないアマゲ族(アニメ、漫画、ゲームのマニア)の溜まり場になっています。彼らを大人と呼べますか?
15歳以上を生産年齢人口と定義したのは戦前から戦後です。もはやこの定義は変える必要があります。名探偵は生産年齢を25歳くらいだと考えています。15歳から24歳まで、毎年1歳づつ子供年齢を上げていきます。すると子供人口は増えます。

次に老人について考えます。昭和の初めの平均寿命は40歳そこそこでした。いまや80歳が平均寿命です。平均寿命はこの70年間で2倍になりました。では人間のおつむは2倍良くなったでしょうか?とてもそうは思えません。ならばおつむの程度は、昭和始めの人の半分と考えたほうが妥当です。さすれば20歳は小学生並みです。30歳でようやく元服式を迎え、40歳が成人式です。60歳は男盛り・女盛りです。実際、今の60歳人にちゃんちゃんこは似合いません。老人の基準も変える必要があります。名探偵は70歳を老人年齢と考えています。毎年1歳づつ老人年齢を上げます。すると老人の数は減ります。
このように従来の基準を変えると「少子高齢社会は子供が増え老人が減る社会」ということになります。断っておきますが、名探偵は何も言葉遊びをしているわけではありません。云いたいのは次ぎの真実です。
~従来当たり前に考えられていた価値基準が壊れる社会が少子高齢社会である

2.意識と環境のギャップに困惑する消費者が増える

従来の価値基準が通用しない社会では、人々はひたすら困惑します。老人と定義されてもそう感じないシルバーたち。もう子供ではないと言われても子供世界から出たくない若者たち。大量定年を迎える団塊世代の生き方についての論議は百家争鳴です。彼らの明確な将来がみえません。自分の気持ちと社会の価値基準のギャップに戸惑う人々が増える時代が到来しています。
意識と環境(体内環境も含みます)のギャップの中で起こる消費者の行動は、喩えが悪いですが衝動的殺人事件に似ています。殺人を起こした本人が、何故殺人を起こしたかよく分からない、殺人を犯したことすら認識しないのが衝動的殺人です。情報バブルに乗せられた各種ブームの多発現象が多発しています。一体、私たちは何をどうすれば良いのでしょう?

この問題を解決するのに参考になる情報を手に入れました。図がそれです。

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米国サンフランシスコで、1昨年の秋に行われたダイレクト・マーケティング大会で、あるコンサルタントが発表した「顧客価値の進化図」です。
図は顧客価値が進化していることについて、コーヒーを例に表しています。かつてコーヒー豆を購入し、自分で焙煎したりひいたりすることで満足した時代の顧客価値は100グラム10セントの豆でした(モノの価値が重視された時代)。次ぎにコーヒー豆にブランドという価値が付きパッケージも美しくなり1ドルになりました(ブランドの価値が重視された時代)。さらにサービスが付き2ドルになりました(サービスの価値が重視された時代)。今はスターバックスのようにコーヒーを楽しむ体験の場を提供するという顧客価値に進化して4ドルになりました(体験の価値が重視される時代)。コンサルタントは会場にいる人々に質問をしました。
「スターバックスの体験の価値の次ぎにくる顧客価値は何でしょう?」
多くの人々が手をあげ回答しました。しかし誰も正解を答えられませんでした。その答えは一体何でしょう。
「次回のこのコーナーでお答えします。では皆さんお元気で!」
「いじわる!!」

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