目からウロコが落ちる話

目からウロコが落ちる話

弊社前会長、齋藤隆による食に纏わることを綴ったコラムです。

第10回 地球を救うか!?エコミール

今回は、前回ご紹介しましたデオキシクッキングを紹介します。株式会社シービーの社長石井滋氏が開発したこの調理法は、現在、レストラン「でおきし亭」で展開されています。紹介のため、氏が書いた冊子をそのまま掲載させていただきます。長文ですが、ゆっくり噛み締めるようにお読みになると目のうろこがとれますよ!

■エコミール

21世紀の地球の為の全く新しい『食』

CB Corporation

エコミールとは
エコ(自然、人間に優しい)+ミール(食事)
という新しい概念をつたえる為の言葉です。
エコミールはエコフードという高栄養食品と一般食品を正しく組み合わせて食べること(エコミールノウハウ)で成立します。

■はじめに

これまで既に

  • 世界的食糧危機
  • エネルギー危機
  • 水資源の枯渇
  • 地球温暖化による様々な影響

は叫ばれてきました

そしてこれら4項目を更に深刻なものとする要素が

  • 世界人口爆発 (2050年までに100億人突破)
  • 発展途上国の急速な発展による『食糧消費の増大』

というものです。

エネルギー危機は過去にもあり、充分ではなくともそれなりの対策がとられてきました。しかし食品は初めてのことです。
食べ物を節約する・・・というといろいろな案が考えられるでしょうが、2割~3割といった価格上昇ならまだしも、何倍ともなるととても有効な策を見いだすことは難しいでしょう。

そしてこれに対しては『コペルニクス的転回』または『コロンブスの卵』的解決方法があるのです。それがこの『エコミール』です。

■エコミールの単純な説明

根本の部分を変えることで現在の食糧の活用率は2倍にも5倍にもなるのです。
『エコミール』はそれを可能にするのです。
もちろん
『そんな上手い話があるはずがない』
といった大合唱があるでしょうが、これがあるのです。

[[[ エコミール ]]]

  • 過去数千年の人類の食文化と
  • 現在の地球での食糧調達の現実と
  • 人類に今不足している希少栄養素の補給を前提条件とし、
  • 最新の技術と、過去にこだわらない食のスタイルにより、
  • 限られた少ない食糧をより高い効率で活用することを可能とする料理コンセプトが

『エコミール』なのです。

その目的は
既に始まっている『地球規模の食糧危機』を回避しつつ、
現代の人間の精神も肉体も少なからず歪めている『食』を正常化すること。
生活レベルでは食品が現在の3~5倍となっても、これまでのコストで充分
味も栄養も満足出来る食生活を維持出来ること。

その手段は
食糧そのものの供給量を飛躍的に伸ばす事は既に不可能。その代わりに

  1. 栄養を壊さない調理法と食べ方により食糧の活用率を飛躍的に伸ばす。
  2. 従来活用出来なかった食材の利用率を飛躍的に伸ばす。

という2点で解決を図る。
現状の活用率が非常に低い為に、効率アップで大幅な改善が充分に可能です。

背景

ここ100年で科学は大きく進歩してきました。食品に対してもそれは大きな影響を与えています。しかし

  • 『科学中心主義による文明の発達』
  • それによる爆発的な世界人口増加
  • 科学万能主義の中では『自然』、『食べる』という行為も単に動物の本能的な次元の低いものと位置づけられてしまった。

というステージで、自然そのものである生き物、食糧、食べるということに対しては歪んだ発展を促し、その結果『安く大量には作れる』が『質』はとんどん低下、という結果となりました。

例えばゴマ油、胡麻は大変栄養価の高い食品で、『ゴマリグナン』『セサミン』などの単語で知られる栄養素はまさに現代人には必須の食品と言えるでしょう。
しかし現実にはその機能を持つ商品は存在せず、一番大量に出回っているのはゴマ油、その次にはすり胡麻、煎り胡麻でしょうか。
しかし残念ながらどれにも『胡麻本来の素晴らしい栄養』のほとんどが消えているのです。適度に煎ってすりつぶすだけで胡麻本来の豊かな栄養と味わいが得られるはずなのに、それが無いという理由は一つだけです。
『良い生きた胡麻を酸化させずに加工して販売することが不可能』
なのです。そしてこれはデオキシクッキングが解決出来る問題なのです。

科学そのものがスタートラインである工業製品は進化するほどそのレベルが高まります。しかし『食』は『自然』がスタートラインであり、それを解析出来ていない科学ではバランスのとれた進歩が出来ないのです。
『良質の食べ物』は生命を正しく発展させて行くことに不可欠の要素で、科学はこれに全く対応出来ていないことを認識することが大変重要です。

そして『自然の恵みである栄養』を壊さないために開発された『デオキシクッキング(酸化還元調理法)』がこの問題解決には大変有効な技術の一つです。
食品の最も貴重で、希少で、デリケートな『高栄養成分(命の栄養)』の多くを壊さずに調理することで、その深い恵みを甘受することが可能となり、結果として

  • 非常に高い食材活用率を達成することが可能
  • 人間の心身の健康維持に大変有効

となることが分かりました。
このレベルでは『栄養状態が素晴らしい』ことと『味わいが素晴らしい』ことは全くの同義語であり、料理としての人間の本来の欲求は充分に満たすこととなります。

但し現代人の『食欲』の半分は麻薬的中毒性を持つ『白砂糖』『化学調味料など』への欲求であり、この面の満足は別に計らねばならなりません。
エコミールでは食材を幾つかに分類し、

  1. 生産、収穫レベルでの対応
  2. 収穫後の工場加工
  3. 消費者レベルでの調理法

といった段階毎に必要な対処をすることが必要です。
例えばの例
『高栄養』『高い活用率』などと言葉を並べられても、イメージがすぐに出来るわけではありせん。その点を例を挙げて理解のお手伝いをしましょう。

白米のご飯は低栄養、抵効率の食品です。生命の栄養である胚芽を捨て、食物繊維である外皮を捨てているのですから当然です。
玄米を炊いて食べるなら遥かに効率も良くなり、栄養も豊富です。しかしそれを現実にする為には

  • 丈夫な歯で100回噛み
  • 充分な唾液で最初の消化を始める

という必要があります。

200年以上もの間、白米食に慣れきってしまい、固い食べ物から遠ざかっている現代人にはとても無理がある食べ方になってしまいます。
だから『エコミール』での玄米食、またはそれに準ずる料理はここの部分を技術で克服し、虚弱な現代人が無理なく『自然で美味しい』というところに到達出来るようにするのです。

自然の栄養が活き活きしている料理は特別な味付けは必要ありません。それ自体が美味しく、食べ進むにつれてどんどん惹かれていきます。
これに似た体験は『エコミール』のいろいろを食べてみれば必ず実感出来るでしょう。

◎第一優先素材 油脂材料⇒ペーストへ(エコフード)

〔種実、油脂の多い穀類などで液体ではなく、
ペースト状の『高栄養調味素材』を作る〕
形態としては『濃厚なドレッシングソース』、『高栄養のスイーツペースト』
『栄養強化調味素材』などとなるでしょう。

---生産は工場100%、完成または半完成商品---

古くから油脂はエネルギーとしても食品としても使われてきました。そしてその時代には『搾って精製する』という方法が最も効率良いものでした。
様々な微量物質が存在すると、それらが酸化した時にクセや刺激となって邪魔なものとなります。それを精製で取り除くというのは正しい方法ではあったのです。

しかし現代では必ずしもそうではありません。むしろ自然環境破壊により食品の『微量高栄養成分』がどんどん減少してきている現代では、その対処にこの油脂の部分が鍵になっているとも言えるのです。

例えば胡麻からゴマ油を作ります。胡麻には存在していた『大変良い栄養』のほとんどが消えてしまいます。ゴマ油の状態では『抜群の健康効果を持つ食品』とは言えなくなります。
ところが胡麻を酸化させずに煎り、酸化させずにペーストにすると
『素晴らしい香り、味わい、健康効果を持つペースト』
が出来上がります。
種々の物質が残っていても酸化しない状態なのでアクやクセなどにはならず、むしろ良い働きを示してくれるものも少なくありません。
高い機能を発揮する分、それだけにデリケートで、酸化させない容器、使い方、使用期限などを守る必要があります。
しかしその価値から見れば、そうした手間はなんでもありません。

◎第二優先素材 穀類、豆類(エコフード)

〔命の栄養(胚芽など)を大切に調理する〕
---生産は工場60%、完成または半完成商品---

玄米かゆ、全粒餅、パン生地、フレーク、
煮豆、ペーストなど

これらの食材は『健康に良いことは充分に知っていて、実際に食事に組み込んでいるよ』と答える方が少なくないことは承知しています。
確かにこれらの食材は『生命力を持つ高栄養食品』としての可能性があります。
しかし同時に『その多くが間違っている』ことも知っているのです。
例えば『玄米食、雑穀米をいつも炊いて食べている』という方がいます。
問題は最低でも3つあります。

その1 その穀類は生きていますか?
密封などによる窒息死、温度管理、光などによる劣化など、
乾物の管理は意外に大変です。その理由は『生きている』からです。

その2 炊き方は間違っていませんか?
『圧力釜で炊くと早く美味しく炊ける』という評判を良く聞きます。
しかし圧力をかけて高い温度で調理すると、折角の高栄養素は破壊されてしまいます。

その3 食べ方は正しいですか?
普通の釜で炊飯した場合、かなり硬めに炊けます。だから食べ方の基本は
1口100回噛む・・・というものになります。そうしないと栄養吸収に問題が発生します。
特に食物繊維が細かくならないで 腸に届いたら、腸内発酵を邪魔することにもなってしまいます。
また噛まないと唾液の量が不足し、第一消化が不充分となります。

『スローフード』は確かに『良かった食べ方』ですが、現代には大変馴染みにくいのです。現代に応用していくにはそれなりの手が加わらなければなりません。
さて産業革命以前は、生産量も輸送量も小さいことから、製粉した穀類の生産と消費は同一地域でした。この頃は小麦は挽きたての全粒小麦のみで、精製して使おうという必要は存在しなかったのです。
しかし産業に動力が導入されることで事態が一変しました。
『大量生産-大量輸送-大幅コストダウン』が可能となったのです。
そうなると『生産から消費までの時間がかかる』⇒『酸化による変質のリスク』という課題が発生し、変質する原因となる胚芽を取り除いた『精製小麦』がその有効な対策となりました。

また全粒でない方が『よりイージーに美味しい』という点も見逃せません。
江戸時代の『江戸患い』も栄養豊富な玄米食を止めて白米食になって発生した位、栄養効果が高いのが全粒でした。
ちゃんと食べればとても美味しい玄米食も『丈夫な歯でしっかりと噛んで、時間をかけて食べる』という幾つかの点が消費者からは避けられていったのです。

小麦でもこの点は似ています。米と違うのは、パンを作る時の『発酵』にも全粒小麦は良くなかったのです。酸化した胚芽は酵母菌の成長の邪魔をするせいです。

さて穀類の粉の酸化を防ぐ方法はいろいろありますし、半完成品として冷凍などで供給するのも良いでしょう。豆類も様々な形で出来るでしょう。
豆類は現状でも材料として流通していますが、密閉容器の為にその多くは酸化した豆類です。この点は絶対に改善しなければいけないでしょう。

◎第三優先素材 小魚(エコフード)

〔近海小魚、オキアミなどのプランクトン〕 -生産は工場90%、完成または半完成商品-

煮魚、ダシ用水煮、その他

この食材は『全くポピュラーではない』ものです。その理由は過去の技術では『食材とならなかった』からです。
小魚がとれてもその多くは『飼料、肥料、ペットフード用など』にただ同然の価格で使用されます。その理由は『食材としては値段がつかないから』にほかなりません。
その理由は
臭い/手間がかかる/クセが強く嫌われる/小骨が多い
などが主な要因でしょう。しかしデオキシクッキングがあるとそれらのマイナスが消滅し、更に

  1. 資源として活用出来ればこれほど素晴らしいタンパク源はない。
  2. 食糧危機という枠組みにはない食品なので、余力は充分。
  3. 特に『自然』が最も濃厚な食材であることが重要な点。

ということになります。
デオキシクッキングで水煮した小魚はそのまま味噌汁にしても非常に良いダシが活き活きして本格的な味噌汁が味わえます。
本来調理が大変で、キッチンにも魚の生臭さが染み込み、・・・といった問題が全くなくなります。
むしろ手間はインスタント食品なみで、料理レベルが腕の良い板前がいる店、となるのです。

問題は水産資源にも『ポリリン酸』(鮮度維持剤)が多用されており、その影響を一切避ける必要があります。この問題の為に現在流通チャネルに乗っている魚介類のほとんどが対象とはなりません。活魚は別として、例えば築地市場に出かけて、ポリリン酸が使われていない魚を見つけることはほぼ不可能という状態です。そしてこれは国産、輸入問わずに同様なのです。

現実には地方の小さな漁港の関係者を説得してポリリン酸を使わないもののみを仕入れることで可能となります。
そうした魚介にデオキシクッキング独特の冷凍、解凍を施すことで、いつでも素晴らしい鮮度と旨味ののった小魚を使えることになります。

一方、海洋資源の活用という面では、プランクトンや小魚は食物連鎖ピラミッドの最下層に位置します。つまり常に相当量がより大きな魚類の為に消費されているのです。だからそうした食材を100消費したとして、今の主流の魚介類にはせいぜい10程度のマイナスにしかならないでしょう。
その点でも『海洋資源の有効活用』となるのです。

またハシを使わない諸外国からは『小魚は食べにくいから食用には適さない』という反論があるかもしれません。
しかし『地球規模の食糧危機の解決』にあたって、

  • 昔からの食習慣に固執していていいのでしょうか?
  • 今の地球で得られるもっとも自然な食糧としての価値を認識すべき
  • ハシを使うという『手先の器用さを鍛える』のは脳への健全な刺激になる

という点を考慮すべきでしょう。

◎第四優先素材 調味料(エコフード)

素晴らしく自然がいきいきしている素材にはいい加減な調味料は全く合いません。かえって食材を駄目にしてしまいます。
だから塩、醤油、味噌、酢、甘味料(蜂蜜、黒砂糖、メープルシロップ等)
はしっかりしたものを揃える必要があります。

◎その他食材)

現在流通している生鮮食品のほとんどに多量に使用されているのが『ポリリン酸』で、品質劣化による販売ロスが劇的に減少しています。
しかしこのポリリン酸は食品そのものの栄養も破壊しているので食品としての価値がほとんど消滅してしまうのです。
『自然の味わいもなければ栄養も無い』というのがポリリン酸が多く使われた食品の現実なのです。

品質劣化をある程度止めるギリギリの使用量を見極めて使用するならポリリン酸も価値があるでしょう。しかし現在の状況は『過剰使用』の食品ばかりです。

少なくともこれが避けられている食品は積極的に活用すべきです。

----------------------------------------

追伸 でおきし亭の場所

住所 東京都台東区浅草橋1-1-10 1F
電話 050-1059-8753
営業日 平日(祭日含む)
営業時間 12時~22時
メールアドレス rxtgn779@ybb.ne.jp

アクセス
JR浅草橋 又は都営地下鉄浅草橋 下車 徒歩2分。
江戸通りを日本橋方面(南)へ進み、最初の大きな交差点を右折、次の角の左にあり。
目印--屋形船『三浦屋』の手前。『三浦屋はどこ?』と聞いてもすぐに分かります。

食に関するコラム 目からウロコが落ちる話の一覧に戻る

ページトップへ戻る