食彩事記

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第42回 桃

夏の果物といえば、スイカが頭に浮かびますが、八百屋さんの店頭で甘い香りがする「桃」も今が旬です。今月は、この「桃」をとりあげます。

「桃」の歴史

原産地は中国で、黄河上流の高原地帯のようです。紀元前2000年以上も前に栽培され始めたといわれています。この中国から、1世紀頃シルクロードを通り、ギリシャ・イタリア・フランスと地中海沿岸へと伝わり、改良されたものがヨーロッパへ、大陸発見によってアメリカへと伝わっていったようです。
日本には、弥生時代かそれ以前には伝わったとされており、平安から鎌倉時代には栽培されるようになり、水菓子と呼ばれて、重要な菓子のひとつになっていたようです。本格的な栽培は、江戸時代に入ってからですが、実は小さく果肉は硬いものでした。現在の「桃」のように甘味が強いものになったのは、明治時代の水密桃系が輸入され、品種改良されたからです。

「桃」の旬と品種・産地

「桃」の旬は7~8月にかけてですが、「桃」の実は、秋の季語になっています。「桃」の品種は系統で分けると、白鳳系、白桃系、黄桃系の3つに分かれます。収穫時期でわけると、早生種、中生種、晩生種の3つに分かれます。それぞれの品種ごとで、収穫できる期間は10日間程と短く、次々と店頭に並ぶ品種は変わっていきます。白鳳系で始まり、途中からは白桃系が中心となります。白鳳系には、桃山白鳳・八幡白鳳・日川白鳳などの種類があり、白桃系には、瀬戸白桃・川中島白桃・清水白桃などがあります。白鳳と白桃を交配した'あかつき'や、白桃とあかつきを交配した'ゆうぞら'といった種類もあります。味は、白鳳系は甘みが強く肉質がやわらかめで多汁であるのに対し、白桃系は果肉の色が白く、肉質がやや硬めで締まっており日持ちが良いという傾向があります。また、果肉の黄色い黄桃系は、欧米でよく食べられています。黄桃の缶詰の「桃」は、日本の白桃とアメリカの黄桃を交配した品種で、缶詰専用につくられた「桃」です。
「桃」のおもな産地は、山梨県、福島県、長野県、和歌山県、岡山県などで、山梨・福島・長野の3県で収穫量の約7割を占めています。

編集後記

今回は、八百屋さんで福島県の白鳳を購入しました。熟すまで室温で置いていたところ、長野県産のあかつきをいただいたので、一緒に写真をとりました。右が白鳳で左があかつきです。白鳳のほうは、やはり肉質が柔らかく果汁がたっぷりでした。あかつきのほうは、すこし硬めで果汁は白鳳より少なめでしたが、その分甘味が濃厚な感じがしました。
みなさんは、白鳳系と白桃系のどちらがお好みでしょうか?

今月のコラム執筆者:卒業モニタ 沖さん(練馬区在住)

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