食彩事記

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第39回 新茶

image_39_1.jpg外出するのにとてもよい季節になりました。5月と6月は、2回にわたって「日本茶」について取り上げます。今月は、1年で一番おいしいとされる「新茶」について話をすすめます。

童謡の「茶摘み」

「新茶」の時期になると、毎年のようにこの歌を思い出します。「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る、あれに見えるは茶摘みじゃないか、あかねだすきに菅(すげ)の笠。日和(ひより)つづきの今日このごろを、心のどかに摘みつつ歌う、摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ、摘まにゃ日本の茶にならぬ。」皆さんも小学生の時に歌ったと思います。この歌詞の八十八夜とは、暦による二十四節気(立春・夏至など)以外の季節の移り変わりの目安となる日の雑節の1つで、節分・土用などもこれにあたります。八十八夜は、立春から数えて88日目の日をいい、今年の立春は2月4日でしたので5月2日になります。この頃に摘まれた茶葉から作られたお茶を「新茶」といい、その年の最初に育った新芽を摘み取って作ったお茶のことです。この八十八夜に摘み取られたお茶を飲むと、無病息災で1年間過ごせるとも言われています。
この時期、「茶摘み」は盛んに行われます。この歌のお茶を摘むときの服装にあかね(茜)のたすき(襷)とあります。これは、あかねが昔から止血剤として知られていたことから使われていたようです。お茶を摘むときには指先をケガしやすいので、たすきのあかねをすり込みながら作業していたのではないかといわれています。。

「新茶」と収穫時期

「新茶」は、桜前線と同じように鹿児島から徐々に北上していきます。「新茶」は、初物(はつもの)また旬のものとして呼ぶ際に使われ、「新茶」と一番茶は、同じお茶のことです。その後、二番茶、三番茶、四・秋冬(しゅうとう)番茶と年間3・4回ほど同じ樹から収穫するようです。地域により差はありますが、収穫時期は以下のようになっています。

一番茶:4月下旬から5月上旬頃
二番茶:6月下旬から7月上旬頃
三番茶:7月下旬から8月上旬頃
四・秋冬番茶:10月上旬から10月中旬頃

編集後記

image_39_2.jpgいただいた静岡産の新茶をいれました。普段の食事の時のお茶は、すぐに急須に茶葉を入れるのですが、今日は、「新茶」がメインなので、手間を惜しまずにいれました。皆さんもご存知とはおもいますが、おいしいお茶の入れ方は次のようです。


  1. 急須に湯を入れ少し冷ましてから、茶碗に注ぎ適温までさらに冷ます。これには、理由があります。湯やお茶を注いだ時に冷めないようにすること、湯を適温にすること、湯の量を量ることの3点です。
  2. 急須にお茶の葉を入れる。
  3. 適温になった茶碗の湯を急須に入れ、ふたをして1分ほどおく。
  4. 最後の1滴まで、茶碗に均等に注ぐ。これにも理由があります。二煎目もおいしく飲むために、お茶の葉が開ききらないうちに注ぐことです。

香りと甘みを楽しみながらお茶を飲むのも、忙しい日常でほっと気を落ち着かせるのには必要なことと思いながら、おいしくいただきました。来月は、お茶の歴史や保存方法を紹介します。

今月のコラム執筆者:卒業モニタ 沖さん(練馬区在住)


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