食彩事記

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第38回 あさり

image_38_1.jpg天気予報で、花粉情報のほかに桜前線についての話を耳にする4月になりました。今回は、貝類で食卓に登場することの多い「アサリ(浅蜊)」について取り上げます。

「アサリ(浅蜊)」の語源と旬

貝塚からもたくさん出ているように、昔から食べられていた貝です。どこの干潟でも容易にとれていたのがよくわかります。干潟を掘ると簡単に「漁(あさ)る」ことができたことが、「アサリ」の語源のようです。今では1年中見かける「アサリ」ですが、旬があります。「アサリ」の産卵期は春と秋の2回あります。地方によって海水温の関係で少し誤差がありますが、5月と10月ごろが産卵期です。この産卵期の前の3~4月と9月が最も身が入りおいしく食べられる旬になります。ただ、この時期は、殻まで栄養がいきわたらないために、殻が薄く割れやすいようです。生まれてから食べられるようになるまで、3年ほどかかります。。

「アサリ(浅蜊)」の性質と産地

「アサリ」はハマグリと同じに分類される2枚貝です。各地の内湾の水深10m程の砂泥地にすんでいます。岸付近にすんでいる「アサリ」よりも沖合いにすむ「アサリ」のほうが、味がよいようです。また、「アサリ」は、えさを食べるときに吸い込む海水量が多いため、海の浄化作用も担っています。近年、漁獲量が激減し、中国・韓国・北朝鮮からの輸入が全体の3分の2を占めています。国産の代表的な産地は、東京湾、伊勢湾、三河湾、瀬戸内海などです。愛知県と千葉県で全体の過半数を占めます。

潮干狩り

これからゴールデンウィークにかけて、干潮の時に砂浜で熊手などを使って貝を掘る光景が、ニュースなどで流れます。潮干狩りは、春の季語にもなっています。

編集後記

image_38_2.jpg入学、入社などのお祝いの多い時期のため、スーパーの魚売り場では、通常よりも多くの魚介類を見かけました。久しぶりに大きな「アサリ」があったので購入しました。表示は愛知県産となっていました。いつもは、電子レンジを使うと簡単なので、酒蒸しにします。今回は、昆布でだしをとって吸い物にしました。「アサリ」の旨みが充分に出ていました。旬のこの時期、国産の「アサリ」を味わってみてはいかがでしょうか。


今月のコラム執筆者:卒業モニタ 沖さん(練馬区在住)


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