食彩事記

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第31回 鶏卵

image_200808_1.jpg今までは、その月に関連した話題を取り上げていましたが、最近のいろいろな食料品の値上げに伴い、物価の優等生といわれてきた「鶏卵」も一部の種類が8月から値上がりするようです。そこで、今月は「鶏卵」を取り上げます。

いろいろな食料品の値上がり

始めに、昨年の後半から小麦の値段が上がり始めましたね。これは、オーストラリアでの小麦の不作やアメリカでの小麦づくりをやめてトウモロコシ栽培をする農家が増えたこと(石油の値段が上がったことによりバイオエタノールの消費が増え、原料であるとうもろこしのほうが小麦より高い値段で取り引きされるために小麦の生産量が減少)、中国やインドなどのアジアの国々の発展によりパンやパスタの消費が増えたことが原因のようです。みなさんもニュースや新聞などで一度は耳にしたことがあると思いますが、日本の食料自給率は39%で、特に小麦の自給率は13%であり、日本が食料の多くを輸入に頼っているからです。また、石油の値上がりが、パンやパスタだけではなく、マヨネーズ・ソーセージなどの食品の原料を海外から運ぶための燃料費の上昇や石油を原料にしている食品の包装、鶏・牛・豚といった畜産物の飼料であるトウモロコシの値上がりへとつながっています。

物価の優等生「鶏卵」の値上げ

昭和20年代までは、食の欧米化に伴い「鶏卵」の消費量が増加し卵の価格は上がっていましたが、昭和30年代にそれまで主流だった平飼い(鶏舎内を自由に運動させて自然に近い方法で飼育)から、ケージ飼い(1羽1羽を30cm 位の籠に入れての飼育)へ変わったことで、生産量が増加して消費量を満たし、「鶏卵」の価格が安定して物価の優等生といわれるようになりました。ただ、昭和48年のオイルショックや昭和50年代後半の輸入飼料の高騰による一時的な値上がりはありましたが、平成に入り価格が安定していました。これが、石油の値上がりによるトウモロコシの価格の上昇で、「鶏卵」を生産するための飼料であるトウモロコシの価格も上昇しました。「鶏卵」を生産する経費の約6割が飼料を占めることや鶏舎の電気代、「鶏卵」のパック代も石油の値上がりによる影響です。このような理由から、「鶏卵」の値上がりとなりました。ただ、値上がりするのは生産者と取引先との交渉で価格が決まる「ブランド卵」(専用の飼料を使い、ビタミンを多く含んだ鶏卵)です。一般の「鶏卵」は今までどおりの値段ですが、今後の生産量と需要により決まる市場価格では、生産者の大半が採算割れとなるのが現状のために値上がりする可能性が高いといわれているようです。

編集後記

image_200808_2.jpg地元のスーパーで、「ブランド卵」と赤玉の卵を購入しました。我が家では、夫婦二人なので6個入りの「ブランド卵」をよく購入します。毎日食べるわけではないので、10個入りは消費するのに苦労するからです。子どもの頃は毎日食べていたので、冷蔵庫のドア側に必ずありましたが、今では、冷蔵庫に「卵」のない日が多いですね。皆さんのご家庭では、どうなのでしょうか?


今月のコラム執筆者:卒業モニタ 沖さん(練馬区在住)


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