食彩事記

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第23回 大晦日

image_200712_1.jpgお歳暮、年賀状、大掃除などの雑事に加え、忘年会やクリスマスといったイベントが多く忙しい12月。北国では根雪となる季節を迎え、関東地方では乾燥した日々が増えてきました。
今回は、1年で最後の日12月31日(大晦日)から、話を進めたいと思います。

「大晦日(おおみそか)」とは

「晦日(みそか)」とは、毎月の末日のことを指します。1年で最後の特別な末日をあらわすために「大」をつけて「大晦日」と呼ぶようになりました。

大晦日の行事①

本来は、歳神様を祀るための準備が行われる日でしたが、仏教の浸透とともに除夜の鐘を撞く習慣が生まれました。
皆さんもご存知のように、除夜の鐘は108つ撞かれますが、人間の煩悩の数を意味しています。煩悩とは、「心を惑わし、身を悩ませるもの」をいい、鐘を撞くことで1つ1つ取り除いて、清らかな心で正月を迎えようというわけです。また、108つの最後の1つは年が明けてから撞くといわれています。今年1年煩悩に惑わされないようにという意味が込められてのことです。

大晦日の行事②

大晦日に食べられる「年越しそば」は、江戸時代中期に始まったようです。もともと、月末にそばを食べる習慣があり、大晦日のみにその習慣が残ったものと考えられています。

「年越しそば」の由来

いろいろな説があるようです。

  • そばは長く伸びるので延命長寿や身代が細く長く延びるようにと願って食べられたとする説。
  • 金銀細工師が散らかった金粉を集めるのに水で練ったそば粉を使ったこと(水につけると金粉だけが沈むのでそば粉が使われた)から、金が集まるようにという意味を込めて食べられたとする説。
  • そばの切れやすい性質から、1年の労苦や厄災を断ち切るという意味が込められているといる説。断ち切りたいものが借金の場合は、残さず食べなくてはならないようです。
  • 植物としての蕎麦(そば)は、風雨に当たって倒れても、翌日陽が差すとまた起き直ることから、「捲土重来(けんどじゅうらい)を期す」(一度失敗しても、奮起して再びやり直すこと)という意味を込めて食べるとする説。

皆さんはどの説がお好みでしょうか?

編集後記

image_200712_2.jpg「年越しそば」
最近は、1人前の分量でつゆとだし・具なども入って、1年中スーパーやコンビニで売られるようになりました。あわただしい12月を終え、大晦日に家族そろって食べる年越しそばは、「ざる」や「盛り」といった冷たいそばでしょうか?「きつね」や「たぬき」といった温かいそばでしょうか?私の実家では、かまぼこやホーレンソウなどの具をのせた「おかめそば」です。海老天が載った「天ぷらそば」の年もあります。

今月のコラム執筆者:卒業モニタ 沖さん(練馬区在住)

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