食彩事記

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第15回 赤飯

image_200704_1.jpg4月は桜と入学式のシーズン!桜吹雪の中で笑顔も満開になります。入学式と聞くと、体の割りに大きなランドセルを背負う小学1年生を連想します。とても初々しくて可愛いですよね。北海道のある地域では赤飯には小豆ではなく、甘納豆が入っています。ほんのり甘く美味しいので、是非試してみてはいかがでしょうか。今回は入学式などのお祝い事には欠かせない、お赤飯について調べてみました。

赤飯の由来

赤飯は「強飯(こわめしまたはおこわ)」という、神前に供えるご飯が赤味がかかっていたことに由来しています。また、古代の日本人の常食のひとつであり、もち米に、煮た小豆とその煮汁をまぜて赤飯に炊き上げます。
昔の日本人は、米はお粥にして食べていましたが、中国から蒸し器が伝わって、ようやく蒸して食べるようになったのです。
しかし、蒸かしたお米は「強飯(こわめし)(おこわ)」と呼ばれ、祝儀の時にしか食べられないものでした。
「貞上雑記」に「強飯といふは白こわめし也、赤飯といふは赤小豆を混ぜたる強飯也」とあり日常食はすべて強飯でしたが、小豆を混ぜて赤色に染めるのは事ある時の印であったといいます。

普通は吉事に赤飯、凶事に白蒸しとなったのは凶を返して吉に転ずる縁起直しからと云われています。南天葉を添えるのも「難転」の縁語であり、赤い色は邪気を祓い厄除けの力を持つと信じられ祝い事や特別の行事に使われています。
それが現在のお祝い事には欠かせない「赤飯」になったという訳です。

小豆の由来

赤飯に小豆を用いるのは、小豆に薬効があるからともいわれ、「和歌食物本草」には、身体によいものと評価されています。
小豆の祖先種と原産地については、まだ定説はありませんが、有力な説としては中国西南部から、インドシナ、ビルマ、ブータンにかけてのヒマラヤ南麓に広がる照葉樹林地帯(東亞半月弧と呼ばれる地域)が原産地との説があります。

同地でとれる野生種の「ヤブツルアズキ」や「ケツルアズキ」から進化・改良された「ツルアズキ」が祖先種ではないかと指摘されています。このツルアズキから今日のアズキが生まれ、その突然変異で白小豆が生まれたと考えられています。
なお、中国では5世紀に書かれた世界最古の農業書である「斉民要術」に栽培法が記載されている様に、古くから利用されていました。

日本で「小豆」と呼ばれるようになった由来は、まず平安時代の「本草和名」には阿加阿岐(アカアツキ)と言う名で顔を出し、江戸時代には阿豆岐(アズキ)、阿加阿豆岐(アズキ)と呼ばれています。江戸時代の学者、「養生訓」で有名な貝原益軒の説では、アとは赤色のことで、ツキ、ズキは溶けるという意味で、要するに、赤くて、他の豆よりも早く柔らかくなることから、アズキと呼ぶようになったということです。

編集後記

image_200704_2.jpg以前当ホームページでも特集を組みました、九段下の手作りお弁当屋さん「蓬や」では、現在期間限定で「お花見弁当」が発売されています。春の食材を使ったおかずに囲まれたご飯は桜の花に象られ、ほんのりピンク色に色づけされています。このご飯、もち米を使用し、桜の花と一緒に炊いているそうです。お赤飯の桜バージョンといったところでしょうか??
当社の近くには、「千鳥ヶ淵」という有名なお花見スポットがあります。蓬やのお花見弁当を持って、花も団子も楽しみたいと思います。



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