食彩事記

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第13回 恵方巻き

image_200702_1.jpg2月のイベントの一つに節分があります。「節分には豆まき」が一般的でしたが、近年では豆まき以外に恵方巻きを食べる風習が全国的に増えてきました。コンビニやスーパーにも登場し、今年の節分も恵方巻きは大活躍しそうです。
今月は「節分」の由来と「恵方巻き」について調べてみました。

節分の由来

節分は「季節の分かれ目」という意味で、元々は立春、立夏、立秋、立冬などの前日をさしていました。ところがいつの頃からか明確ではありませんが、立春に限ってを指すようになりました。その理由として、冬から春になる時期を一年の始まりと考えたからです。
立春を新年と考えれば節分は大晦日にあたり、前年の邪気を祓うという意味を込めて追儺(ついな)の行事が行われていたわけで、その一つが「豆まき」です。
もともとは中国から伝えられた習俗ですが、我が国でも広く行われるようになり、さらに春を迎えるにあたって邪気や災難を払い、新しい年の豊作・福善を願ったことから、節分と追儺の習俗が生まれたようです。
追儺の行事は「鬼やらい」「なやらい」「鬼走り」「厄払い」「厄おとし」「厄神送り」等と俗に称せられ、疫病などをもたらす悪い鬼を駆逐する行事をいいます。我が国で、この追儺の行事が行われたのは、文武天皇の慶雲三年(706)に宮中で初めて営まれたことが「続日本紀」に書かれています。その記事によりますと、慶雲三年には諸国に疫病が蔓延し多くの死者が出たので大いに「おにやらい」したと記述されています。

恵方巻き

恵方はその年の歳徳神(としとくじん)のいる方向を指し、明きの方(あきのかた)とも言い、その年の最も良いとされる方角の事です。古くは正月の神の来臨する方向を指していたのですが、九星術が流行してから現在のような意味になりました。その方位とは
甲・己の年 甲(寅卯の間)の方位(東微北)
乙・庚の年 庚(申酉の間)の方位(西微南)
丙・辛の年 丙(巳午の間)の方位(南微東)
丁・壬の年 壬(亥子の間)の方位(北微西)
戊・癸の年 丙(巳午の間)の方位(南微東)
です。
その年の十干(じっかん)で決まり、十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・壬・癸(こう おつ へい てい ぼ き こう しん じん き)の順で循環しています。これを十二支と組み合わせて六十干支(ろくじっかんし)を作っています。つまり60年で一周するので還暦というわけです。
節分の夜に、恵方を向いて恵方巻き(太巻き寿司)を終始無言で丸かぶりする(関西方言で「まるかじり」の意味)と、一年中無病息災でいられるとされています。この風習は明治時代に一旦廃れましたが、戦後、大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で行った海苔の販売促進行事で復活しました。太巻きに変わったのもこの頃で、「福を巻く 切ると福がこぼれる」ということで丸かぶりとなったようです。また寿司に巻く具が7種類で七福神を示すなどというこじつけもあるようです。

編集後記

image_200702_2.jpg東京・浅草に程近い商店街に、のり巻き寿司の専門店があります。リニューアルのため半年ほど休業してましたが、先日新装開店しました。ショウウィンドウには様々な種類ののり巻き寿司が並び、どれもこれも食べたくなってしまいます。
店頭のおじさんにオーダーすると、その場で作ってくれます。ご飯とのりの間にフィルムを挟んでくれるので、時間が経ってものりがぱりっとした状態で頂くことが出来ます。価格もかなりお手頃で、商店街の人気店になっています。
関東でも「節分の恵方巻き」がかなり浸透してきているので、このお店でも去年から節分には店頭に恵方巻きが並ぶようになりました。今年はコンビニやスーパーが恵方巻きにかなり力を入れていたせいか、2月3日はお店はかなり賑わっていました。

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