食彩事記

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第12回 おせち料理

image_200701_1.jpg1 月のイベントと言えば、やっぱり「お正月」!お正月は日本人にとって最も重要なイベントのひとつです。お正月には、多くの家庭の食卓に色とりどりのおせち料理が並びます。最近では、ホテル・デパート・レストランや料亭の豪華なオリジナルおせちを購入する家庭も増え、年末の台所の風景もだいぶ変ってきました。
今月は、「お正月」の由来と「おせち料理」について調べてみました。

お正月の由来

お正月は「歳神様」をお迎えしてその年の豊作や幸せを祈る行事です。かつては、お盆とお正月で半年ごとに先祖を祀る行事でしたが、お盆を先祖供養の行事に、お正月は歳神様を迎える「神祭り」となりました。このため、お正月には歳神様をお迎えする為の様々なお飾りを行います。お飾りの中でも代表的な門松は神様が地上に降りる為の目印と依代(神がやどる物体)、しめ縄は神聖な境界をつくり家の中に悪霊や穢れが入らないようにするとされています。
お飾りを行う日は、「苦」に通じ縁起が悪いため29日、「一夜飾り」といわれ、新年においでになる神様へ礼に欠ける行為とされる31日を避ける為に、28日までに飾るのが一般的です。
お正月とされる期間は、本来1月の別名が「正月」ですが、現在では1月1日から1月3日までの三が日、または「松の内」(1月7日)までが「正月」とされています。
この中でも1月1日は元旦と呼ばれ「年のはじめを祝う」ことを趣旨とする国民の祝日(1948年公布・施行の国民の祝日に関する法律により制定)となっています。
正月の語源は、事物の起源や語源・語義を解説した室町中期の類書「あいのうしょう」の説が有力とされ、「政治に専念した秦の始皇帝の降誕の月を政月(セイグヮツ)と言っていたものが、正月と書かれるようになり、シャウグヮツと改められた」とされています(正月の旧かな「シャウグヮツ」)。

おせち

おせちは「御節供」が略されたもので、節日(一月七日:人日、三月三日:上巳、五月五日:端午、七月七日:七夕、九月九日:重陽)に神様にお供えをし、家族そろって節振舞にあずかることでしたが,現在では,正月料理だけを指すようになっています。また、五穀豊穣を願い、家族の安全と健康、子孫繁栄の祈りを込めて、縁起の良い食材の名にこと寄せ、海の幸、山の幸を豊かに盛り込んだものです。一部のおせち料理と意味を紹介します。
・黒豆 :まめの言葉の連想から1年間まめ(まじめ)に働いて、まめ(健康的)に暮らせる様にという願い。
・数の子 :沢山の卵が詰まっていることから、子孫繁栄多産への願い。
・伊達巻 :巻かれた形が書物に類似している事から、知識が豊富になることへの願い。
・ごまめ(田作り):片口いわしの干物を田んぼの肥料に使っていたことから、豊作の願い。

おせちを重箱に入れて供されるようになったのは明治以降のことで、四段重ねが本流とされます。これは完全をあらわす「三」にさらに一つ重ねる意味からきています。
基本的な入れ方は、一の重には祝い肴である三つ肴(黒豆・数の子・ごまめ)と口取り(伊達巻き・栗きんとん・昆布巻き)、二の重には焼き物(ぶりの焼きもの・えびの焼きもの・のし鶏)、三の重には酢の物(紅白なます・たたきごぼう・酢だこ・〆さば)、与の重(四は不吉とされるので与とされます)には煮物(昆布、里芋、れんこん、にんじんなどの含め煮)が入れられます。

編集後記

image_200701_2.jpgおせち料理には、地方によって、家庭によっていろいろなスタイルがあります。我が家のおせち料理は、お重に詰める一般的なスタイルではなく、一人一人お盆に盛り付けるスタイルです。
また、黒豆・数の子・きんとんなどの伝統的なおせちの他に、サーモンマリネやキャビアなどのオードブル的なものも加え、和洋折衷にしています。
伝統的なスタイルのおせちもいいですが、各家庭独自のスタイルのおせちを考案するのも楽しいと思います。

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