食彩事記

食彩事記

第11回 かぼちゃ

image_200612_1.jpg12月のイベントの一つに冬至があり、今年の冬至は12月22日(金)です。この日はかぼちゃを食べる風習がありますので、スーパーにはたくさんのかぼちゃが並んでいます。
この日は真夏の太陽をサンサンに浴びた美味しいかぼちゃで、食卓をにぎやかにしてみてはいかがでしょうか。

「冬至」

冬至とは24節気のひとつで、北半球では太陽の高さが一年中で最も低くなり、昼が一年中で一番短く逆に夜が長くなります。
冬は植物が枯れ、動物は冬眠してしまうため、食料が手に入りにくくなります。更に日照時間が短いため生命の源である太陽の恵みを享受することが出来にくく、人々は生活の不安を感じていました。特に北半球では、冬至に対する不安は大きかったようです。そこで無病息災を祈るために、野菜の少ない季節に栄養を補給するためのかぼちゃを食べたり、その香りに邪を祓う霊力があると信じられている柚子のお風呂に入るなどして夜を越していたようです。
冬至は「とうじ」と読みますが、これを「湯治〔とうじ〕」とかけて生まれたのが柚子湯(柚子を入れたお風呂)です。柚自体にも意味があり、「融通〔ゆうずう〕が利きますように」という願いが込められているそうです。

「かぼちゃ」の伝来

原産地は南米といわれ、日本へは16世紀にポルトガル船によって伝えられました。東南アジアのカンボジア産と伝えられていたことから、カンボジアがなまって「かぼちゃ」と呼ばれるようになったとか。最初に伝えられたのは日本かぼちゃと呼ばれ、現在よく食べられている西洋かぼちゃは明治時代ごろに導入されたそうです。
かぼちゃは、日本かぼちゃ・西洋かぼちゃ・ペポかぼちゃ等の種類があります。ひとつは一番最初に日本に伝来してきた「日本かぼちゃ」、その後広まった「西洋かぼちゃ」、そして細長いものや小型のものが多い「ペポかぼちゃ」です。
日本かぼちゃは、形が平たく縦に溝が入っておりデコボコしています。味は淡泊で、粘りがあり、煮くずれしにくいのが特徴です。また西洋かぼちゃは日本かぼちゃと違って、表面に溝がなくなめらかで、糖質が多く甘いので栗かぼちゃとも呼ばれています。その甘さを生かしてプリンやパイなどデザートにもよく利用されます。日本で流通しているかぼちゃの大半がこの西洋かぼちゃです。そしてペポかぼちゃは、金糸うりやズッキーニなどのことで、形は細長いものや小型のものが多く、一般的なかぼちゃとは味も食味も全く違います。

「冬至」と「かぼちゃ」

冬至は生命の終わる時期だと考え、そしてそれを乗り越えるため無病息災の祈願などをし不安を取り除こうとしました。その時に食べる食物の1つがかぼちゃです。
昔は夏に収穫したものを冬至まで大切に保存しておいていましたが、現在では夏に南半球で生産された旬の輸入かぼちゃを食べることが一般的です。冬至かぼちゃが有名なので、冬の野菜だと思っている人も多いのではないでしょうか。
また、柚子には血行を促進する成分や、鎮痛作用のある成分が含まれています。更にビタミンCも豊富なため、湯につかり全身からそれらの成分を吸収することで風邪をひきにくくする効果があります。

編集後記

image_200612_2.jpg今回は日本かぼちゃの一種である黒皮かぼちゃを使った、かぼちゃグラタンです。
これを購入したお店は25周年を迎え、首都圏を中心に多くの店舗を持っています。味と鮮度にこだわるだけあり、ショーウィンドゥに並んでいる商品はどれも彩が良く、食欲をそそわれました。
このグラタンを最初に見たときに、"どこまで食べれるのだろう。。。"と思ったのですが、店員さんから「ふたから中身まで全部食べられますからね。」と教えて頂き、頂くのがとても楽しみになりました。レンジで温めるとチーズが溶け、かぼちゃとグラタンの良い香りが広がりました。素材そのものの味が活かされており、黒川かぼちゃの自然な甘さと濃厚なホワイトソースの味が良いバランスで、店員さんのアドバイス通り、ふたまで美味しく頂けました。ちょっと贅沢な食卓にしたい方にはお勧めの一品です。

graph_200612.jpg

食に関するコラム 食彩事記の一覧に戻る

ページトップへ戻る