食彩事記

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第9回 ぶどう

image_200610_1.jpg10月の行事といえば、「体育の日」前後に行われる運動会が挙げられます。そして運動会での楽しみの一つである、お昼のデザートに「ぶどう」を持参するご家庭を多く見かけます。今回は「体育の日」と、「運動会」の人気者である「ぶどう」について調べてみました。
スポーツの秋といわれる季節でもありますので、ご家族そろってスポーツを楽しんでみてはいかがでしょうか。

「体育の日」の由来

1961年に制定された「スポーツ振興法」では10月の第1土曜日を「スポーツの日」としていましたが、この日は祝日ではありませんでした。その後、1964年に日本で初めて五輪大会「東京オリンピック」の開会式が開催されたため、それを記念して1966年から東京オリンピックの開会式のあった10月10日を「体育の日」として祝日に定めました。
「スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう。」ことをその趣旨としています。
さらに日本の観測史上、晴れる確率が最も高い日が「10月10日」で、この特異はいまでも継続中だそうです。
2000年(平成12年)からは「ハッピーマンデー法案」の制定により、10月の第2月曜日が体育の日とされています。

「運動会」の由来

もともと「運動会」という行事は、日本ではなじみの薄いものでした。寺小屋の時代から、遠足的な行事は行われていました。刀術や弓術、馬術など特定の競技は行われていましたが、体育全般にわたる行事は行われていませんでした。
運動会という行事は、文明開化の時に西洋から持ち込まれたもののようです。
日本で初めて行われた運動会は、明治7年海軍兵学寮で行われたものだと言われています。この時のプログラムの中には、現代の運動会の競技に通じるようなものがありましたが、この後運動会は軍事的性格を持ったものになっていきます。 団体訓練をする場として運動会が利用されるようになったのです。
こうした動きに対して、運動会の開催回数が重なるにしたがって、盛大で楽しいお祭色の濃いものへとなっていきます。 明治40年前後には、そのプログラムも現代のものに近づき、地域全体のお祭へとなっていきました。

ぶどう

ペルシャ後期の「ぶどう」を意味する言葉は「ブダワ」であり、シルクロードから中国を渡って伝えられ「葡萄酒」(プータウチュウ)へと変化しました。さらに海を越えて日本の奈良の都へたどり着き、今日の「ぶどう」の語源となりました。
ぶどうの歴史は古く、紀元前4000~5000年頃にはワインが作られていたという記録があります。紀元前から広く栽培され、今でも世界で最も生産量の多い果実のひとつと言われています。
日本でのぶどうの栽培は甲州ぶどうがその始まりと言われ、718年行基が甲州(山梨県)勝沼の大善寺に伝えたという伝説と、1186年に勝沼に住む雨宮勘解由という人物が見つけたとの説があります。江戸時代を通して徐々にぶどう栽培は広がっていましたが、現在のように盛んとなったきっかけは明治初期に、欧州と米国から新しい品種が輸入されたことによります。
ぶどうの種類は世界で七千種以上と言われていますが、そのうち日本で栽培されているのは三十種前後と思われます。特に多いのは、「デラウェア」・「巨峰」・「マスカット」、「甲州」などです。
また「ブドウ糖」は熟したブドウ果汁に多く含まれているため、この名前がつきました。
思う存分スポーツを楽しんだ後に、ブドウ糖がたっぷり含まれるぶどうを食べれば疲れが和らぎそうです。

編集後記

image_200610_2.jpg大手ショッピングサイトで、北海道産のぶどうジュースを販売するお店を見つけました。ここで売っているぶどうジュースは一般の濃縮還元果汁ではなく 100%天然果汁で、酸化防止剤なども入っていない無添加ジュースです。更に、材料となる葡萄は全て無農薬栽培のものだそうです。
一口飲むと、甘酸っぱい葡萄そのものの香りが口いっぱいに広がります。そして飲んだ後には葡萄独特の渋みが残ります。まさに「自然の味」です。値段は 1000mlで1050円、送料を合わせると2000円と少々高めですが、それだけ出してでも取り寄せる価値がある商品でした。

また、田園都市線の溝の口駅を降りてすぐの大手百貨店の地下に、某地元情報誌にも紹介された、創業明治35年の果物店がプロデュースする、フルーツとスイーツの新しいスタイルを取り入れたお店があります。まるで宝石の様に輝くフルーツをふんだんに使った商品がショーウインドウに並び、全種類を制覇したくなる衝動にかられました。他にケーキ界の人気商品であるモンブランや、新鮮な季節の果物を原料にしたジュースやゼリーもあります。
今回は"巨峰ムース"を購入してみました。ムースの上に巨峰が美しく飾られ、崩してしまうのが惜しいと思いながら、スプーンで口まで運ぶと、口中新鮮な巨峰の味・香りが広がりました。さすが果物店がプロデュースするだけあり、厳選された材料(フルーツ)を使用している様です。巨峰の下にあるムースはぶどうの食感があり、果汁だけでなく果肉もたっぷり使用されているのが分かりました。
ケーキ・フルーツの両方を十分楽しめるスイーツでした。

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