食彩事記

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第8回 おはぎ

image_200609_1.jpg9月の行事の1つに、「秋分の日」があります。国民の祝日に関する法律(祝日法)では「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨としています。
仏教各派ではこの日「秋季彼岸会」が行われ、宗派を問わずお墓参りをする人も多いですね。そしてこのお彼岸に供え物として作られるのが、「おはぎ」「ぼたもち」です。今回は「お彼岸」と、お彼岸に多く食べられる「おはぎ」「ぼたもち」との関連について調べてみました。

「お彼岸」の由来

梵語(ぼんご:サンスクリット語の異称)の「波羅密多(はらみた)」の訳で、【迷いの世界である此岸(しがん)から、悟りの彼岸(ひがん)に到達すること】という意味です。此岸とはこの世のことで、この世で悟りを得て彼岸へ到ることを願い行いを慎む期間とされています。
このため、この期間に仏教の六波羅蜜の教えを実行することによって極楽に近づくことが出来るとされています。六波羅蜜の教えとは、
[布施]他人へ施しをすること
[持戒]戒を守り、反省すること
[忍辱]不平不満を言わず耐え忍ぶこと
[精進]精進努力すること
[禅定]心を安定させること
[智慧]真実を見る智慧を働かせること
のことです。
お彼岸の時期は、春彼岸 3月18日~24日、秋彼岸 9月20日~26日の二回あります。
仏教の西方に極楽浄土があるという考えから、真西に日が沈む春分の日と秋分の日の前後3日間がお彼岸になったとも、また、仏教の極端に走らない中道の精神から、季節の中道のこの時期がお彼岸になったともいわれています。

おはぎ・牡丹餅

お彼岸におはぎを食べる習慣は「小豆」は古来より邪気を払うとして信仰され先祖の供養と結びついたという説や、砂糖や米が大変貴重だった時代に、先祖におはぎを供えて近所にお裾分けすることが大変な功徳を積むことになったからと諸説あります。
また、この習慣が始まったのは江戸時代から始まったと言われていますが正確なところはわかっていないようです。
「おはぎ(牡丹餅)」はあんこと餅米をあわせた食べ物で、春彼岸では「牡丹餅」、秋彼岸では「お萩」と呼ばれます。また、「牡丹餅」は牡丹の花をイメージ漉し餡、「お萩」は萩の花をイメージして粒餡で作られるところが多いそうです。

編集後記

image_200609_2.jpg東京・日本橋の大手百貨店本店地下に、兵庫に本社を構えるおはぎ屋チェーン店があります。
このお店は素材にかなりこだわりがあり、餡子には良質な北海道十勝自然小豆を、また、もち米は国内産の最高級品を使用してるそうです。
このお店のおはぎは少し大きめで、1個食べるだけで満腹になってしまいます。しかし餡が甘すぎないせいか、ペロリと平らげることが出来てしまいます。
全国各地(特に百貨店・大手量スーパーなど)に店舗を構えているようなので、皆さんも是非見つけて食べてみてください。
最近では「おはぎアイス」なるものも発売されたそうです。

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