食卓双眼鏡

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第18回 4節気(3月1日~3月20日頃)材料編:たけのこ

「たけのこ前線」という言葉をご存知ですか? 暖かい気候を好むたけのこは、南は九州、四国から北は東北南部まで、時期を追って産地が北上していきます。桜前線が話題になるころ、竹林でもたけのこが地上に顔を出し始めるのです。
たけのこが最も食べられているのは、食MAPのデータによると4月からゴールデンウィークの終わる頃までで、この時期だけ突出しています。まさに春の味覚を代表する野菜です。この時期になると野菜売り場では、土がついた皮付きの生たけのこがたくさん並ぶようになりますが、一時間以上も下ゆでしないと食べられないので、調理するのに手間がかかります。それでも旬のたけのこで作った料理の美味しさ、本来のたけのこの風味や味わいを知っている人には、その手間が惜しくないようです。一年中売られているパック入りの水煮たけのこは、残念ながら、味・風味、食感の点で別物の食べ物ですからね。
さて、一年でこの時期しか味わえないたけのこ、主婦の皆さんはどうやって食べているのでしょう? 食MAPのデータによると、まず1位になるのは、「たけのこの和風煮物」です。次いで、炊き込みご飯、野菜の炊き合わせ、吸い物・澄まし汁と続きます。春らしい和風料理は、花見や行楽のお弁当にもぴったりで、この時季ならでは。そのあとには、チンジャオロース、春巻き、豚肉と野菜の中華風炒め、酢豚など、中華料理の定番料理も並びます。他にもカレーライスや野菜炒め、卵料理など、いつものおかずに加えている方もいます。ちなみに、4月の1ヶ月間でたけのこを使ったメニュー数は72でしたが、たけのこの旬でない9月には、たったの24メニューでした。
私も毎春、たけのこを見かけると必ず自分でゆでて料理しています。出始めのころは1本1000円以上もしていたのがだんだんお安くなってきたときを狙って、2本買います。ゆでる手間は一緒なので、どうせならまとめ買いするのがお勧めです。まず1本は、だしを利かせて薄味で煮てわかめも加えた若竹煮を作ります。さらに柔らかい姫皮の部分で炊き込みご飯に。残ったもう1本は、肉を加えてこっくりした煮物にしたり、炒め物や汁物、細かく刻んで肉団子に入れたりして使います。下ゆでしたたけのこは、水を張ったボールに入れて冷蔵庫で保存すれば1週間くらい持つので、いろいろに使いまわしています。
今春作ったたけのこ料理で、ヒット!と自画自賛している料理をご紹介しましょう。たけのこのぺペロンチーニスパゲティです。にんにくの風味がたけのこの美味しさを引き立てます。しゃきしゃきと食感のよいたけのこがアクセントになる、春らしいパスタです。

★たけのこのぺペロンチーニスパゲティ
〈材料2人分〉

  • ゆでたけのこ 80g
  • そら豆(ゆでて皮をむいたもの) 6~8粒
  • スパゲティ 150g
  • にんにく(粗みじんきり) 1かけ
  • 赤唐辛子(種を除いて小口切り) 1本
  • オリーブ油 大さじ3
  • 塩、粗引きこしょう

〈作り方〉

  1. ゆでたけのこは、食べやすい大きさに切る。
  2. 鍋に湯を沸かし、塩(湯の量の0.8%)加えスパゲティをゆで始める。
  3. フライパンにオリーブ油とにんにく、たけのこを加え、弱火で加熱する。にんにくのよい香りが立って、たけのこが少ししんなりとしたら、赤唐辛子を加え、塩少々で味をつける。パスタのゆで汁を1/2カップほど加え煮立たせたところに、ゆで汁を切ったスパゲティを加える。そら豆を加え全体を混ぜ合わせ、器に盛る。好みで粗引きこしょうをふる。

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