食卓双眼鏡

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第17回 3節気(2月3日~2月末日) 材料編:菜の花

春の息吹を感じさせる菜の花。春を代表する緑黄色野菜です。
「菜花(なばな)」「花菜(はなな)」の名前で出荷される産地もありますが、食用にするのはつぼみから7~8㎝の長さに切った部分。一番おいしいのは3月で、かすかな苦みと独特の香りが特徴です。
食MAPモニターの食卓でも、2月後半から登場率が上がり3月にはピークを迎えます。そして5月の連休過ぎにはほとんど登場しなくなっています(上のグラフ参照)。
旬の時期、モニター家庭ではどんな風に料理して食べているのでしょう?ダントツで1位になるのは「お浸し」。次いで「和風の和えもの」、「ちらし寿司」。あとは、「みそ汁」、「スパゲティ」、「野菜ソテー」、「ベーコンとの炒め物」、「ごまあえ」など。一見、ほうれん草や小松菜などの青菜の料理法と変わらないようですが、菜の花が春野菜だと感じるのは、ちらし寿司の具になっているところでしょうか。3月にはちらし寿司の食卓登場率もあがります。桃の節句が近づくとスーパーなどの売り場では、ちらし寿司の具になる材料と、菜の花、はまぐりなどが同じところに並んだりもしています。モニター家庭の実際の食卓でも「ちらし寿司、はまぐりの潮汁、菜の花のおひたし」と言う定番の献立が目立ちます。
ちらし寿司の具などを一から手作りする主婦は減っても、食卓に春の季節感を取り込もうとしている主婦は昔も今も変わらず健在のようです。
ところで、菜の花は栄養の点でも優秀です。鉄分などのミネラルやビタミンCやカロチン、ビタミンB分も豊富。特にカルシウムが多く、ほうれん草の約3倍近く含まれています。ただ菜の花のビタミンは熱に弱いので、ゆですぎには注意しましょう。選ぶポイントはつぼみが堅く、葉は黄緑色で柔らかいもの、軸の切り口がみずみずしく、中心まで緑色をしているものが良品です。花が咲くと味が落ちるので早めに調理してください。私は買ってきたら、水を張ったボールなど軸をつけるようにして移しておきます。数時間すると葉が水を吸ってみずみずしく広がり、新鮮さがよみがえります。こうしてから調理するとよりおいしく仕上がるような気がします。
最後にレシピの紹介をしましょう。材料さえそろえば3分もかからず出来てしまう簡単料理です。ポイントは、菜の花についた水分と少量の油で蒸すこと。菜の花のうまみや香りが逃げず、色は鮮やか。油と一緒に短時間で調理するので栄養の面でも効率的です。お浸しを作るより、お湯を沸かしたり冷水に取ったりする必要がなく、手軽なのも魅力です。

★菜の花とじゃこのさっと煮
〈材料〉

  • 菜の花    1把
  • じゃこ    30グラム
  • ごま油    大さじ1
  • 塩、しょうゆ 少々
  • 鷹の爪    好みで適宜

〈作り方〉

  1. 菜の花は水でざぶざぶ洗って、長さを半分に切る。
  2. 水気のついたままフライパンに入れ、じゃことごま油をふりかけてふたをする(好みで種を除いた鷹の爪を加えても良い)。 強火の火加減で1分~1分半、蒸し炒めして菜の花が鮮やかな緑色になればできあがり。 味をみて、足りなければ塩としょうゆで味を調える。

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