食卓双眼鏡

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第16回 3節気(2月3日~2月末日) 材料編:はまぐり

はまぐりが一年のうちで最も多くの食卓に登場するのは、桃の節句のころ。上のグラフははまぐりの食卓登場率を示していますが、2月下旬から3月上旬の一時だけグンと鋭い山を作っています。
食事に季節感がなくなったともいわれますが、この時期にハマグリの汁物(潮汁、吸い物、すまし汁)をいただく家庭は、相当数いるようです。古来より、はまぐりの左右の殻のかみ合わせが他の殻とでは絶対に合わない、というところから貞節のシンボルとされ結婚式の披露宴や桃の節句の御膳で用いられてきたといわれています。そしてはまぐりが最も美味しい時期は、暖かい季節の産卵期を前にした春先、ちょうどひな祭りのころでもあります。ただし、昔は潮干狩りでもとれたという国産はまぐりは、いまや貴重品で値段も張ります。今スーパーなどで売られているのは中国や韓国から輸入されたシナハマグリという姉妹種が大半を占めているとか。
そんなことも影響してか、この時期でもはまぐりの代わりにあさりの吸い物で代用する家庭も結構あります。あさりより旨味が強くその味わいの深さは格別ですが、はまぐりの出番はどんどん減ってきています。
そもそも、はまぐりの料理メニューはあさりに比べ、ずっと少ないようです。食MAPのモニター家庭のメニューを見ると、登場するのは「潮汁」、「吸い物」、「鍋物」くらいです。料理の本には、酒蒸しやバター焼き、パエリア、ブイヤベース、マリネなど多彩な料理法が紹介されていますが、実際には、シンプルな調理法ではまぐりのおいしさを楽しむ方が多いようです。
ちなみに、栄養面ではカルシウムや鉄、ビタミンB2が豊富で、マグネシウムや亜鉛もバランスよく含まれていて、美肌効果や、貧血、骨粗鬆症の予防にも効果があります。また、旨味成分や血中のコレステロール値、血圧の上昇を抑えるタウリンなども含まれています。
最後のレシピ紹介は、はまぐりの旨味を豆腐にふくませた蒸し物です。季節の菜の花を添えるとより春らしい一品になります。

★はまぐりと菜の花の蒸し物
〈材料〉
・はまぐり   4つ
・豆腐     1/2丁
・菜の花    1/3把
・酒      大さじ1
・薄口しょう油 各少々

〈作り方〉

  1. はまぐりは塩水(水1カップ、塩小さじ1)の入ったバットなどにいれ、 暗くて静かな場所に1時間ほどつけて砂をはかせる。 (「砂抜き」として売られているものでも、もう一度したほうが安心です)
  2. 殻ごとこすり洗いし、水洗いして汚れを落とす。
  3. 豆腐は1/2丁を半分に切る。菜の花は熱湯でさっとゆでておく。
  4. 鍋に、豆腐とはまぐりを並べ、酒と同量の水を振ってふたをして中火にかける。 1~2分してはまぐりの殻が開いたら菜の花を加え、煮汁を含ませる。味をみて薄口しょう油で味を調える。

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