食卓双眼鏡

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第15回 3節気(2月3日~2月末日) 材料編:アボカド

「森のバター」とも呼ばれ、すっかり日本人の食卓に定着したアボカド。黒くて硬そうな皮をむくと黄緑色をした果肉が顔を出します。甘味がなくてこってりとした口当たりが特徴ですが、実は果物の一種であることをご存じでしたか? 原産は、中央アメリカからメキシコあたりの地域で、クスノキ科の高木で、われわれが食べているのはその果実の部分です。その果実に脂質が約20%も含まれているのが森のバターと呼ばれる所以ですが、その大半はリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸です。その上ビタミンやミネラルも豊富とあって、外見も中身もユニークな果物としても注目されています。
さて、アボカドの旬はいつなのでしょう? 実は、日本で食べられるアボカドの99%は輸入品なので、店頭では一年中見かけ、味も値段もほぼ一定しています。ところが、上のグラフを見てください。食卓登場率は一定ではありません。3月に小さな山、5月のゴールデンウィークのあたり、その後6月、年末にかけても山ができています。これはアボカドの料理手法、メニューのほうにかかわりがあるのかもしれません。
では、どんなメニューで食べられているのかというと・・・食MAPモニターの家庭では、「そのまま」というのが最も多いのです。皮をむいて適当に切って、塩や醤油、マヨネーズで食べるのです。次は「サラダ」として、ほかの野菜数種類と合わせてドレッシングなどをかけるというのも一般的。またワサビ醤油と食べるとマグロのトロのような味わい、といわれるせいか、「手巻きずし」や「鉄火丼」、「海鮮丼」などの具にしている家庭も目立ちます。ほかはサンドイッチの具などにしてパンと合わせることも。こうしてみるとアボカドが食べられる時期と言うのは、手巻きずしやサラダなどの料理の食卓登場率が高くなるとき(3月の桃の節句、5月のゴールデンウィーク、年末年始など)に連動しているようです。定番料理でもアボカドが入っていると、ヘルシーでおしゃれな雰囲気になるような気がするので、人が集まるときなどには活躍するのかもしれません。
和風メニューでも洋風メニューでもマッチする応用範囲の多い食材ですが、食MAPモニターの家庭では生食で食べることがほとんどです。でも実は、加熱してもおいしく食べられることをご存知ですか? 衣をつけてフライやてんぷらにしたり、軽くソテーしても、生のときとはまた違ったトロッした食感とコクがたのしめるので、一度試してみてください。
私がお勧めするのは、アボカドと相性の良い食材をとり合わせた「アボカドとエビのマヨネーズ炒め」です。マヨネーズが溶けた香ばしい風味がアボカドとえびにからんでクセになるおいしさです。初めて食べた方はえっ!こんな食べ方があったんだ、と驚くに違いありません。そのまま食べてもいいですが、写真ではフランスパンにのせました。

★アボカドとえびのマヨネーズ炒め
〈材料〉

  • えび(冷凍) 8尾 下味(塩、こしょう少々、酒大さじ1/2、片栗粉大さじ1/2、小麦粉大さじ1/2)
  • アボカド 1個
  • マヨネーズ 大さじ1+大さじ1/2
  • 塩、こしょう、みじん切りパセリ 各適宜

〈作り方〉

  1. アボカドは皮付きのまま真ん中の種に向かってぐるりと包丁を入れ、半分に割る。 種を取って皮をむき、食べやすい大きさ(2センチ角)に切る。
  2. えびは殻をむいてさっと洗い、水気を拭いてから背側に包丁を入れ、開く。 塩こしょう、酒をもみこみ、片栗粉と小麦粉を混ぜたものをまぶす。
  3. フライパンにマヨネーズ大さじ1を入れ、②のえびを炒める。 えびにほぼ火が通ったらマヨネーズ大さじ1/2を足し、アボカドを加え、さらに炒める。 塩、こしょうで味をととのえ、仕上げにみじん切りのパセリを散らす。

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