食卓双眼鏡

食卓双眼鏡

第10回 12節気(10月中旬~11月下旬頃) 材料編(2):牡蠣料理とワイン

牡蠣が夕食に登場するのは10月1日から(牡蠣の解禁日)です。図表によりますと最大のピーク時期は11月19日週です。
ここで質問です。この週にあるイベントは何でしょう?

答え 良い夫婦の日(11月22日)

続いて質問です。11月22日の近くに、もう一つ記念すべき日があります。ただし、本来は日本の記念日ではありません。何でしょう?

答え ボジョレーヌーボ解禁日(第3木曜日 2007年11月15日)

次の図は2007年の夕食の、赤ワインと白ワインの登場頻度を表した図です。

赤ワインはボジョレーヌーボの解禁日を含む11月12日週~19日週に大きな山ができています。この時季にフランスで作られた新酒を楽しむ日本人が相当数いることを表しています。一方白ワインは、ボジョレーヌーボの解禁日前の10月下旬から11月に小さな山を作っています。とはいえ、白ワインは赤ワインに比べ、圧倒的に登場頻度が少ないことがわかります。日本人の普段の食事、和食をベースにした献立には赤ワインより白ワインのほうが相性がよいというのが定評ですが、実際にはワインなら赤、という方が少なくないようです。料理との相性以外にも、赤ワインには何か魅力があるのかもしれません。

さて再び問題に戻ります。牡蠣とワインとかけて何と解く?

答え 花の都パリと解く

「いい夫婦の日を結び目に、牡蠣とワインで食卓を祝うイベントを日仏協同で開催する」
これは食MAPシステムも生みの親でありNTTデータライフスケープマーケティングの代表取締役である斎藤隆社長の数年前からのアイディアです。
斎藤社長によれば、「ここの時期に食卓を賑わすのが、日本の大人が大好きな牡蠣フライです。牡蠣はワインの本場のフランス人も大好きです。パリっ子は生牡蠣を好みます。牡蠣は、グリコーゲン、タウリン、亜鉛が豊富な食べ物です。夫婦和合の食べ物ということは、古今東西証明済みです(?)」
食MAPのデータから、牡蠣フライや生牡蠣が登場すると、ワインの登場確率がグンと上がることがわかっています。そこで斎藤社長は、日仏共同のキャッチフレーズとして、
「いい夫婦の日にはワインと牡蠣料理を」
さらに、「ワインと牡蠣で、フランスと姉妹都市契約を結ぶ気のある都市はいませんか?」
と呼びかけていらっしゃるのです。

そこで今回、食卓双眼鏡のテーマはワインと牡蠣料理です。ワインと牡蠣料理が同時に登場する食卓を覗いてみましょう
まずカキフライから・・・

★49歳主婦
11月2日(金)
ご飯
カキフライ(カキ、オリーブ油、卵、天然塩、パン粉)
トマトのサラダ(レタス、トマト、フレンチドレッシング)
アボカドのサラダ(かいわれ・スプラウト類、アボカド、生ハム)
牛乳
ビール(サントリーザ・プレミアムモルツ)
白ワイン(輸入)

52歳のご主人と、18歳のお姉さん、14歳の男の子の4人家族です。
カキフライを中心にした洋風献立で、白ワインにぴったりのちょっとしゃれた食卓です。作り手のこだわりも感じられます。まず、カキフライの揚げ油にオリーブ油を使用しているところ。サラダ油などに比べオリーブ油はカリッと軽く揚がるのです。また、サラダは2種類。いろいろな野菜をすべて混ぜたミックスサラダ1品として仕上げるのではなく、タイプの違うサラダを2種類、盛り分けて作っています。見た目も華やかです。

★57歳主婦
10月27日(土)
ご飯
イングリッシュマフィン
カキフライ、キャベツとトマト添え(カキ、卵、菜種油、小麦粉、パン粉)
湯豆腐(長ネギ、絹ごし豆腐)
たくわん付け
ミックスナッツ
緑茶、煎茶、番茶
ビール(アサヒあじわい、サントリー金麦)
白ワイン(国産)

こちらは和風と洋風がミックスされた献立です。食べ手が50代のご夫婦に27歳の女性なので、それぞれの好みを反映するとこうした一見ちぐはくな食卓になるのかもしれませんが、それが食卓の現実のようです。
12節気の食卓で見る限り、カキフライが登場するときのアルコールは、白ワインかビールでした。赤ワインは出ませんでした。牡蠣は白ワインとの相性がいい、といわれますが、実際の食卓でもそのようです。
次に生牡蠣が出た食卓をのぞいてみると・・・・。

★40歳主婦
11月24日(土)
ご飯
すき焼き(春菊、長ねぎ、白菜、すき焼き用牛薄切り肉、すき焼きの割り下、木綿豆腐、しらたき)
えびの塩焼き
生牡蠣(かき)
炭酸飲料
赤ワイン(輸入)

こちらのご家庭は40代のご夫婦と12歳と9歳の姉妹のいるご家庭です
生牡蠣に赤ワイン!?と思いきや、すき焼きがメインディッシュの食卓です。どうやら、すき焼きに合わせて赤ワインを飲まれたのでは? と思います。甘辛く濃い味付けがされて牛肉の旨味とコクが楽しめるすき焼きのような料理は、和風メニューと言えども赤ワインとは好相性なのです。とはいえ、ご夫婦二人が飲んだのは赤ワインだけなので、生牡蠣もえびの塩焼きも赤ワインと一緒にいただいたことになります。実際の食卓では、料理とワインの相性を深く追求せず、飲みたいものを飲んでいるだけなのかもしれません。

続いて、赤白両方のワインを飲まれているご家庭もあります。

★54歳主婦
10月30日(火)
混ぜご飯(白米、しめじ、えのき、その他のきのこ、ごま、ごま油、濃口醤油、料理用日本酒、ラーメンスープの素、ツナ缶)
コンソメ味の野菜スープ(にんじん、かぶ、ベーコン、減塩しお、コンソメ、黒こしょう)
ソーセージとブロッコリー
生牡蠣(すだち、かき)
シーフードサラダ(パプリカ、生ハーブ、スモークサーモン、オリーブ油、減塩しお、米酢、黒こしょう)
赤ワイン(輸入)
白ワイン(輸入)

ご主人と二人で、赤と白のワインを両方を飲んでいます。全体的に白ワインのほうが合いそうなメニューが並んでいますが、まず白ワインで乾杯し、生牡蠣やシーフードサラダなどをいただいて、その後 赤ワインに変えて、ソーセージのグリルなどをつまみにされていたのではないでしょうか。家庭では、料理に合わせてワインを変えるのはボトルを2本開けることになり、なかなか難しいはず・・・ワイン通なご夫婦なのかもしれません。

続いて、カキフライと生牡蠣以外の牡蠣メニューを食卓に登場させたのは・・・

★47歳主婦
11月12日(月)
ご飯
その他の中華風スープ(長ねぎ、白菜、にんじん、ごま油、天然塩、うまみ調味料)
貝の炒め物(白菜、牡蠣、サラダ油、天然塩、オイスターソース、白こしょう)
厚揚げ、油揚げの焼き物
ポテトサラダ
緑茶
ビール(グロールシュプレミアムビール)
白ワイン(輸入)

40代のご夫婦お二人と、16歳の女子高校生、8歳の男子小学生の食卓です。牡蠣と白菜のオイスターソース炒めが主役の献立です。大人の飲み物として、このご家庭でもビールと白ワインが同時に登場しています。
12節気(10月22日~11月25日)のあいだに、牡蠣料理とワインが同時に出た食卓をのぞくと、白ワインのほうが赤ワインより優勢でした。赤ワインの消費量が圧倒的に多いなか、牡蠣料理には白ワインのほうが好まれるようです。

「いい夫婦の日には牡蠣料理とワインで!」という新しい習慣を根付かせるには、あなたならどんな牡蠣料理とどんなワインを合わせますか? アイディア募集中です。

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