食卓双眼鏡

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第9回 12節気(10月中旬~11月下旬頃) 材料編(1):大根料理

大根が夕食卓に登場する頻度の一番の"底"は8月上旬です。それでもTI値150と、15%の確率で夕食に登場しています。この15%を底に12月上旬の TI値300まで一気に登場頻度を高めます。12節気(10月中旬~11月中旬)は「大根山登り」のさしずめ5合目から8合目あたりです。
ここで質問です。2007年1年間で大根が使われたメニューの種類数をお答えください。

答え 353種類

これはすごい数字です。一年(365日)の間に毎日違った大根料理を食べられる計算です。
もう一つ質問です。
2007年の1年間に、大根が一番使われた料理のベスト3位をお答えください。

答え 1位 味噌汁(使用頻度の26%) 2位 鮮魚の塩焼き(同16%) 3位 大根の煮物(同11%)

図表は12節気の大根料理ベスト10位を主婦の年齢別に整理した結果です。

この時期の大根料理のベスト3は味噌汁、おでん、鮮魚の塩焼きとなります。一年間のトータルで3位に入った大根の煮物は5位になっています。6位に大根サラダなんて面白い料理が登場しています。通常の野菜サラダは冬の時期にはどちらかといえば食卓に登場する頻度を落としますが、大根サラダは冬にうってつけの野菜サラダ料理です。
ベスト10位をざっと眺めてわかることは次の4点です

  1. 主婦年齢が高くなるほど登場回数が多くなる料理が多い (魚の塩焼き、大根の煮物、大根おろし、魚介の刺身、けんちん汁)
  2. 主婦年齢が高くなるほどよく出る料理の人気度は、むしろ若い主婦ほど高くなる (魚の塩焼き、大根の煮物、大根おろし、魚介の刺身、けんちん汁)
  3. 非常に人気の高い大根料理は、年齢による登場回数に大きな差はない (おでん、豚汁、和風鍋)
  4. 全ての大根料理で20代主婦の家庭の登場回数が極端に低くなっている

さて今回食卓双眼鏡の最大のテーマは20代主婦に大根料理をもっと登場させることです。20代主婦の人気の大根料理に迫ってみましょう。

まず紹介するのは、若い方に好まれそうな大根の煮物料理です。
20代の主婦の作った大根の煮物を紹介します。

★24歳主婦
11月8日(木)
大根
鶏卵
にんにく
鶏手羽
その他のサラダ油
食塩
濃口醤油
三温糖
米酢
みりん風調味料
料理酒

鶏の手羽先と大根をこっくりと甘辛くしょうゆ味で煮込んだおかずです。お酢が入っているので、手羽先は柔らかくあっさりと食べられたのではないでしょうか。卵やにんにくも入ってスタミナも満点です。この他に食卓に登場したのは、えびの中華風炒めや具入りオムレツ、野菜サラダなど。30代のご主人と3歳の男の子がいる若いご家庭らしく、ボリュームがたっぷりです。
この主婦以外でも、20代の作る大根の煮物は、油を使ってコクを出したり、肉や魚と一緒にしっかりした味付けで煮込まれた料理が目立ちます。年代が上がるにつれ、調味料はシンプルに、里芋やにんじんなど他の野菜と一緒にあっさりとした味付けが増えるのと対照的です。

大根おろしも、20代での人気が高い料理です。

★27歳主婦
11月4日(日)
ごはん
焼肉
シュウマイ
大根おろし
きのこソテー
麦茶
ビール

大根おろしが料理? という方もいるかもしれませんが、焼肉などのこってりした料理に大根おろしは絶妙な組み合わせではないでしょうか。
焼き魚に添えたり、しらす干しをのせたりするだけでなく、肉料理にたっぷり添える、というのが20代に人気の大根おろしの食べ方のようです。栄養学的に言っても、大根にはでんぷん分解酵素のアミラーゼを含んでいて、生で食べると消化・吸収を助け胸焼けや食べ過ぎの不快感を解消する効果があるので、おすすめです。

次に大根サラダについて紹介しましょう。この料理も20代での人気が高いメニューですが、年代によって面白い傾向があります。
まず、20代。材料は大根をメインに、ドレッシングは和風かノンオイル。シンプルでヘルシーなのが特徴です。

★29歳主婦
10月29日(月)
大根サラダ(大根、市販の和風ドレッシング)

30代は、大根以外にプチトマトやレタス、きゅうりなどをの野菜を加えて彩り豊か、ツナ缶を使用する人もいて20代より使う材料が増えます。ドレッシングは和風かノンオイル、ポン酢などでさっぱりと食べています。

★30歳主婦
10月23日(火)
大根サラダ(大根、レタス、プチトマト、ポン酢しょうゆ、けずりぶし、缶・ビンのマグロ(ツナ))

40代は、30代と同様に複数の野菜を使い、さらにじゃこや油揚げ、干しえび、かに棒(かにフレーク)など見た目、味わいともにバラエティに富んだ大根サラダを作っています。ドレッシングも、手作りだったり、和風やイタリアン、フレンチ、マヨネーズなどいろいろです。

★41歳主婦
11月16日(金)
大根サラダ(大根の葉、だいこん、ごま油、市販の和風ドレッシング、油揚げ)

50代は、ホタテ入りの大根サラダが圧倒的に人気です。材料は、大根とホタテ貝柱(缶・ビンの水煮)、マヨネーズ。ホタテの代わりにかに棒(かにフレーク)が入ることもありますが、ドレッシングよりマヨネーズの使用が目立ちます。

★59歳主婦
11月15日(木)
大根サラダ(大根、天然塩、マヨネーズ、缶・ビンのホタテ)

そして60代になると、大根をサラダにして食べる人がグンと少なくなります。生食でもぬか漬けや一夜漬けなどにして食べるほうが人気です。漬物も広い意味ではサラダと言えそうですが・・・。
大根サラダ、と一口に言ってもその中身は実にさまざま、どれも美味しそうです。

大根料理に限ったことではありませんが、主婦経験の豊富な世代のほうがは料理のレパートリーが豊富で、柔軟な組み合わせや調理法を実践しているようです。大根というと、和風料理に使われることが多いですが、風味や味に癖がないので、洋風の味付けとも相性がよいのです。たとえばバターで炒めたり、コンソメスープで煮たり、カレーに入れるのも、おすすめです。もちろんナンプラーやコチュジャンなどのエスニック調味料との相性も◎。これからの寒くなるにつれ、大根はずっしりと重くなり中身はみずみずしく、最も美味しい時季。お値段もお安くなります。新しい発想も取り入れて、丸ごと一本をじゃんじゃん使いこなしてください。

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