食彩事記

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第44回 鮭

日1日と涼しくなり、あちらこちらの生垣の金木犀がオレンジ色の花をつけ、風にのりほのかな香りを放ちだしました。今月は、日本の食卓やおにぎり、お弁当にも多く使われている「鮭」について取り上げます。

「鮭」の歴史・旬

「鮭」の歴史は古く、東日本各地の貝塚から「鮭」の骨が発見されていることから、縄文時代から食べられていたようです。また、平安時代には、献上品として「鮭」が使われていたという記録が残っています。
みなさんもご存知のように、「鮭」は卵を産むときに生まれた川に戻るという習性があります。これを、母河回帰といいます。川の上流で孵化して海へ下り、北太平洋や北大西洋で3~4年過ごしたのち、成魚となり生まれた川に産卵のために戻ってきます。この戻ってくる時期が秋から冬にかけて、8月後半から11 月頃までにあたり、今が旬です。
この母河回帰がわかったのは18世紀になってからで、「鮭」の産卵ができる環境を整えようと、明治になってから「鮭」の人工孵化が実験的に行われ、天然の産卵場として知られていた北海道の千歳川が、人工孵化場に選ばれ、のちに捕魚車としてインディアン水車が設置されました。
主な漁場は北海道ですが、世界ではアラスカ・カナダ沿岸・ノルウェーなどでとれます。また、「鮭」が産卵するために上る川は、北海道から本州北部の川にわたっています。

「鮭」の種類

「鮭」には、種類による名前のほかに、とれる時期によっていろいろな呼び名があります。最もよくとれる「鮭」は白鮭という種類です。アキアジ・ギンケとも呼ばれ、産卵のために川に近づいてきたもので、秋に出回る最も一般的な「鮭」です。また、旬以外にとれるものを時知らず、産卵前の若いものを鮭児と呼びます。このほか、身の色が赤身の強い紅鮭などがあります。

編集後記

毎年この頃になると、実家より、おなかにいくらの入っている「鮭」が一尾送られてきます。また、魚売り場で生の「鮭」やいくらを目にすると、小学校の修学旅行のとき、千歳川のインディアン水車を見学したことを思い出します。川の流れを受けて回っている水車から勢いよく「鮭」が落ちてくる光景は、とても衝撃的で、今でもはっきりと覚えています。今回は、実家に帰省したおりにつくった醤油づけのいくらと、瓶詰めの北海道産の鮭のほぐしを使い、簡単に海鮮親子丼にしました。ご飯の上にキュウリの千切りを敷き詰め、鮭・いくらをのせると、食べた時にキュウリのしゃきしゃきとした食感が絶妙です。是非、お試しください。
日本人が、最も食べる魚、なじみのある魚、好きな魚である「鮭」、これからの季節、石狩鍋、三平汁、チャンチャン焼きなどいろいろな料理で楽しませてくれる「鮭」、みなさんは、何種類の料理で食卓を飾るのでしょうか?

今月のコラム執筆者:卒業モニタ 沖さん(練馬区在住)

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