食卓双眼鏡

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第20回 4節気(3月1日~3月20日頃)材料編:わかめ

世界で最も海藻を食べるといわれているのは、日本人なのだそうです。海藻の中でももっとも身近なのは、わかめではないでしょうか。
そのわかめ、いったいどうやって食べていますか? 食MAPのデータでは「味噌汁の具」にして食べるのが年代を問わず圧倒的に多いようです。わかめだけのときもあれば、豆腐やじゃがいもなど複数の具とともに入ることもあります。味噌汁の次にくるのは、年代によって異なります。50,60代の熟練主婦は「酢の物」。わかめだけでなく、きゅうりやイカ、タコなども加えた酢の物をよく作っています。ところが、20代の主婦はわかめ入りの酢の物をまったく作っていません。4節気に限ってはゼロ。30,40代主婦は酢の物を一応作りますが、「わかめスープ」や「ミックスサラダ」、「海藻サラダ」のほうを好んで作っています。大雑把に言うと年代が上がるにつれ、わかめの使用頻度も上がっていくようです。ただし、わかめを最も多く使っている60代主婦のわかめ料理レパートリーは多くなく、「味噌汁」、「酢の物」、「野菜サラダ」、「刺身のツマ」くらい。他の世代は、ラーメンやそばに入れたり、コンソメスープや鍋物、茶碗蒸しなどいろいろな料理に使っていて、使用頻度は高くなくても柔軟な食べ方をしています。
ところで、わかめにも旬があるのをご存知ですか? 普段は塩蔵や乾燥されたものがいつでも手に入るので意識しませんが、冬から春先にかけてが収穫の最盛期です。このころのわかめは柔らかで食用に適しています。ただし春先に「生わかめ」と名がついた商品も、実は一度湯通ししてから塩蔵加工したものがほとんどです。収穫したままの生の状態だと酵素の働きで時間がたつとベトベトに変質してしまうので、このような保存加工をしています。
味や風味を生かす調理のポイントとしては、まず戻すときに水に長くつけすぎないのが大切です。酢の物やサラダなどそのまま食べるときは、60~80度くらいのお湯にくぐらすと色が鮮やかになり食感も良く風味も損ないません。加熱するときも、長く煮ると色が悪くなり香りも飛んでしまうので、加えたらひと煮立ちさせるくらいで火を止めましょう。
栄養的には、食物繊維、鉄分、カルシウム、ビタミンなど不足しがちな栄養素を豊富に含んでいます。低カロリーなのもうれしいところ。ただしあまり消化は良くないので、一度にたくさん食べたり、おなかの調子が悪いときには食べ過ぎには気をつけましょう。
最後にレシピを紹介します
わかめ料理というと、地味な和風のお惣菜が多いのですが、これはわかめを主役にした、ボリュームのあるおかずです。今回はわかめだけを豚肉で巻いていますが、好みでねぎやチーズなどを加えてもよいと思います。たれのほうに梅干を加えると味が引き締まって美味しくなるのでぜひ加えてみてください。冷めても美味しいので、お弁当にもむいています。

★わかめの豚肉巻き梅風味

〈材料〉

  • わかめ(塩蔵)60グラム
  • 豚薄切り肉 300グラム たれ(酒、しょうゆ、砂糖、水、各大さじ2、梅干し大1個)
  • 小麦粉、油、 各少々

〈作り方〉

  1. わかめは水につけ、ざっと塩を流し、たっぷりの水に5分ほどつけて戻す。水気を絞って3センチ長さに切る。梅干は種を取って包丁で粗く叩いておく。
  2. まな板の上に豚肉の1/3量を縦に並べる。わかめの1/3量をのせて、手前からくるくると巻く。残り2個も同様に作る。
  3. 小麦粉を薄くふって、フライパンに油少々を熱したところに並べ入れ、転がしながら全体を焼く。たれの材料を加え、ふたをして弱火で3~4分煮る。ふたを取って、汁気が少なくなるまで煮絡める。まな板に取り出して、食べやすい大きさに切って、器に盛り付ける。

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